シングルセル発現プロフィール解析の毒性評価への応用

文献情報

文献番号
200400214A
報告書区分
総括
研究課題名
シングルセル発現プロフィール解析の毒性評価への応用
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
杉本 幸彦(京都大学大学院(薬学研究科))
研究分担者(所属機関)
  • 田中 智之(京都大学大学院(薬学研究科))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【トキシコゲノミクス分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
トキシコゲノミクスを行う上で、マイクロアレイは有効なツールであるが、μg単位のRNAを必要とするため、通常組織や臓器といったヘテロな細胞集団を解析しているのが現状であった。本研究の目的は、単一細胞での毒性検出を前提とした発現プロフィール解析法を確立するとともに、本法を用いて薬物や遺伝子欠損による毒性・障害を細胞単位の発現変化として捉え、これによりトキシコゲノミクスを細胞レベルで進めることの有用性を示すことである。
研究方法
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、消化管障害や生殖毒性などの副作用を示し、これらはある種のプロスタグランジン(PG)受容体欠損マウスの表現型として見いだされる。本研究では、これらを題材に、本法の最適化を図るとともに、細胞レベルの遺伝子発現変化を捉え、PG受容体欠損やNSAIDsによる消化管や生殖の毒性を分子レベルで理解することを目指した。
結果と考察
標的細胞径が10 μ以上の場合は、レーザーダイセクション、それ以下の場合は、キャピラリ法により細胞回収した。とくに後者については、前者のノウハウを駆使することで、誰にでも容易に全行程を5日で完了できるよう改良した。従来の成果に加え、以下の組織(細胞)における薬物処理や遺伝子欠損による毒性や障害を捉えることに成功した。1) NSAIDによる消化管粘膜上皮、2) EP3作動薬による肺胞、3) 組織マスト細胞亜群、4) 発癌物質による肝癌初期巣、5) FP欠損による黄体細胞、6) PACAPによる膵島β細胞。その結果、例えばインドメタシン処理時の大腸の毒性発現に関する遺伝子発現変化を解析した場合、粘膜上皮レベルの発現は、大腸全組織のそれよりも早期にかつ劇的にインドメタシンで変化することを発見し、上皮細胞レベルでの発現変化を調べることが毒性評価に非常に有効であることを明らかにした。
結論
実用的なシングルセル発現プロフィール解析法を確立した。また本解析法を用いて、実際に毒性に対応する細胞レベルの発現変化を捉えた。細胞単位の解析結果は、組織単位よりもはるかに高感度で早期に薬物作用を捉えることが可能であったことから、細胞レベルでトキシコゲノミクスを進めることが、医薬品の安全性向上と毒性機序の理解を推進する上で非常に重要であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2005-04-13
更新日
-

文献情報

文献番号
200400214B
報告書区分
総合
研究課題名
シングルセル発現プロフィール解析の毒性評価への応用
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
杉本 幸彦(京都大学大学院(薬学研究科))
研究分担者(所属機関)
  • 田中 智之(京都大学大学院(薬学研究科))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【トキシコゲノミクス分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
トキシコゲノミクスを行う上で、マイクロアレイは有効なツールであるが、μg単位のRNAを必要とするため、通常組織や臓器といったヘテロな細胞集団を解析しているのが現状であった。本研究の目的は、単一細胞での毒性検出を前提とした発現プロフィル解析法を確立するとともに、本法を用いて薬物や遺伝子欠損による毒性・障害を細胞単位の発現変化として捉え、これによりトキシコゲノミクスを細胞レベルで進めることの有用性を示すことである。
研究方法
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、消化管障害や生殖毒性などの副作用を示し、これらはある種のプロスタグランジン(PG)受容体欠損マウスの表現型として見いだされる。本研究では、これらを題材に、本法の最適化を図るとともに、細胞レベルの遺伝子発現変化を捉え、PG受容体欠損やNSAIDsによる消化管や生殖の毒性を分子レベルで理解することを目指した。
結果と考察
標的細胞径が10 μm以上の場合はレーザー法、それ以下では、キャピラリ法で回収増幅した。とくに後者は従来、熟練と10日以上の時間を要したが、前者のノウハウを駆使することで誰もが容易に全行程を5日で完了できる方法を確立した。本法を用いて、以下の組織(細胞)における薬物処理や遺伝子欠損による障害を捉えることに成功した。1) NSAIDによる消化管粘膜上皮、2) EP3作動薬による肺胞、3) EP2欠損による卵・卵丘細胞、4) 組織マスト細胞亜群、5) 発癌物質による肝癌初期巣、6) FP欠損による黄体細胞、7) PACAPによる膵島β細胞、8) EP4欠損による脂肪細胞、9) PGE2投与による特定神経核。その結果、例えばインドメタシン処理時の大腸の毒性発現に関する遺伝子発現変化を解析した場合、粘膜上皮レベルの発現は、大腸全組織のそれよりも早期にかつ劇的にインドメタシンで変化することを発見し、上皮細胞レベルでの発現変化を調べることが毒性評価に非常に有効であることを明らかにした。
結論
実用的なシングルセル発現プロフィル解析法を確立した。また本法を用いて、実際に毒性に対応する細胞レベルの発現変化を捉えた。細胞単位の解析結果は、組織単位よりもはるかに高感度で早期に薬物作用を捉えることが可能であったことから、細胞レベルでトキシコゲノミクスを進めることが、医薬品の安全性向上と毒性機序の理解を推進する上で非常に重要であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2005-04-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-03
更新日
-