ナノテク集積型埋め込み式心室補助装置

文献情報

文献番号
200400205A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノテク集積型埋め込み式心室補助装置
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
山家 智之(東北大学加齢医学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 仁田 新一(東北大学加齢医学研究所)
  • 江刺 正善(東北大学未来科学技術共同研究センター)
  • 芳賀 洋一(東北大学先進医工学研究機構)
  • 吉澤 誠(東北大学情報シナジーセンター)
  • 田中 明(福島大学共生システム理工学類)
  • 岡本 英治(北海道東海大学工学部)
  • 圓山 重直(東北大学流体科学研究所)
  • 松木 英敏(東北大学大学院工学研究科)
  • 高木 敏行(東北大学流体科学研究所)
  • 羅 雲(東北大学先進医工学研究機構)
  • 福田 寛(東北大学加齢医学研究所)
  • 田林 晄一(東北大学大学院医学系研究科)
  • 西條 芳文(東北大学加齢医学研究所)
  • 大坂 元久(日本医科大学老人病研究所)
  • 久保 豊(東京女子医科大学第二病院内科)
  • 早瀬 敏幸(東北大学流体科学研究所)
  • 飯島 俊彦(秋田大学医学部)
  • 川野 聡恭(東北大学学際科学国際高等研究センター)
  • 梅津 光生(早稲田大学理工学術院)
  • 佐藤 和則(東北大学加齢医学研究所)
  • 白石 泰之(東北大学加齢医学研究所)
  • 本間 大(株式会社トキ・コーポレーション)
  • 紺野 能史(東北電子産業)
  • 山内 清(東北大学先進医工学研究機構)
  • 伊藤 久雄(宮城県立循環器呼吸器病センター)
  • 佐々木 英彦(宮城県立循環器呼吸器病センター)
  • 佐藤 尚(宮城県立循環器呼吸器病センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
22,050,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
心臓を直接圧迫して補助することにより心拍出を維持する全く新しい心室補助装置の開発を行った.東北大で開発中のナノセンサを駆使して心筋の機能と血行動態を探知し,マイクロ制御チップで補助循環の必要性を計算するインテリジェント制御機構を持つ超小型の埋め込み式心室補助装置をナノテクの応用によって開発することである.
研究方法
本研究で開発する心室補助装置は,超小型アクチュエータで心筋の拍動を補助するシステムである.これはナノセンサ,マイクロコントロールユニット,アクチュエータを組み合わせることによる超小型器械式心筋として人間の心筋をも凌駕する性能を目標としている.アクチュエータとしては,比較的軽症の心不全患者のためには,形状記憶合金・形状記憶樹脂を用いたナノ・マイクロマシン化が可能なペルチェ運動素子を将来的な候補と考え研究を進めた.より重症の左心不全患者のためには,モータ駆動型も開発の視野に入れ,現在までに肋間装着型のボールスクリューアクチュエータとして開発を進めた.
結果と考察
はじめに,ダイレクトドライブ方式の心室補助装置開発を目指して動物実験を行い,ペルチェ運動素子の効果を動物実験において検証した.その結果,ペルチェ運動素子では1Hzを超える駆動速度が得られることが分かった.しかしながら,心臓の構造と収縮能力とのマッチングによって長軸方向から横軸にねじれが生じ,最適な加圧が行えないという現象が観察され,心筋の解剖学的走行と,生理学的収縮方向に沿った縫着が不可欠であることが示された.次に,広範囲の心筋梗塞患者および拡張型心筋症患者のために,ボールスクリューによるアクチュエータを用いて心室補助を行うシステムを開発した.経皮的にエネルギを伝送するシステムと合わせて完全埋込システムの開発も進めた.この心室補助装置では,有効な血行力学的効果が得られることが動物実験において確認され,慢性期の動物でも肝臓,腎臓に壊死の所見はなく,血栓形成の問題が無いことが証明された.また,肝臓・腎臓,肺ともに鬱血の所見はなく,良好な右心および左心循環が維持されることが示された.
結論
これまでの研究成果に基づいて,新たな補助循環システムとして臨床前試験に供給できるナノテク集積補助循環システムの具現化が可能になると期待される.

公開日・更新日

公開日
2005-06-02
更新日
-

文献情報

文献番号
200400205B
報告書区分
総合
研究課題名
ナノテク集積型埋め込み式心室補助装置
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
山家 智之(東北大学加齢医学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 仁田 新一(東北大学加齢医学研究所)
  • 江刺 正善(東北大学未来科学技術共同研究センター)
  • 芳賀 洋一(東北大学先進医工学研究機構)
  • 吉澤 誠(東北大学情報シナジーセンター)
  • 田中 明(福島大学共生システム理工学類)
  • 岡本 英治(北海道東海大学工学部)
  • 圓山 重直(東北大学流体科学研究所)
  • 松木 英敏(東北大学大学院工学研究科)
  • 羅 雲(東北大学先進医工学研究機構)
  • 福田 寛(東北大学加齢医学研究所)
  • 田林 晄一(東北大学大学院医学系研究科)
  • 西條 芳文(東北大学加齢医学研究所)
  • 大坂 元久(日本医科大学老人病研究所)
  • 久保 豊(東京女子医科大学第二病院内科)
  • 早瀬 敏幸(東北大学流体科学研究所)
  • 飯島 俊彦(秋田大学医学部)
  • 川野 聡恭(東北大学学際科学国際高等研究センター)
  • 梅津 光生(早稲田大学理工学術院)
  • 佐藤 和則(東北大学加齢医学研究所)
  • 白石 泰之(東北大学加齢医学研究所)
  • 本間 大(株式会社トキ・コーポレーション)
  • 紺野 能史(東北電子産業)
  • 山内 清(東北大学先進医工学研究機構)
  • 伊藤 久雄(宮城県立循環器呼吸器病センター)
  • 佐々木 英彦(宮城県立循環器呼吸器病センター)
  • 佐藤 尚(宮城県立循環器呼吸器病センター)
  • 堀 義生(東北大学先進医工学研究機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ニュースなどでも年金制度の破綻が話題になる昨今であるが、高齢化社会の到来に伴い、高齢心不全患者の社会復帰が今後ますます強く求められるようになることは疑いない。
本研究の目的は、心臓を直接圧迫してアシストすることにより心拍出を維持する全く新しい心室補助装置の開発である。
開発される心室補助装置は、人工心臓のように常に拍動していなければ血栓形成の危険のあるポンプシステムではなく、必要なときに必要なだけ補助する装置であるので、耐久性も大きく期待される。
研究方法
本研究では、東北大学で開発研究がすすめられているナノテク技術を集積することによって、ナノセンサ・マイクロコントロールユニット・マイクロアクチュエータを組み合わせ、ナノ集積型心筋として人間の心筋をも凌駕する性能を目標とした。
アクチュエータとしては、比較的軽症の患者のためには、形状記憶材料をもちいた、ナノ・マイクロマシン化が可能なペルチェ運動素子を構成要素候補とした。また、より重症の左心不全患者のためには、モータ駆動型も開発の視野に入れ、肋間への埋め込みが可能な小型のエレクトロハイドローリック型アクチュエータを開発した。最終的には、心室補助装置全体をトータルシステムとして微小化することを目標とした。
結果と考察
第一に、ダイレクトドライブ方式の人工心室補助装置開発を目指して動物実験を行った。ペルチェ運動素子を用いて心室補助実験を行った結果、1Hzを超える駆動速度で収縮拡張補助的運動を実現できた。
第二に、肋間埋込型エレクトロハイドローリック心室補助装置の開発を行い、倫理委員会の厳密な審査を経た上で動物実験を行って性能を評価した。制御アルゴリズムとして、開発中の人工血圧反射制御を制御チップに埋め込み、オプティカルナノファイバ血圧センサからの情報を統合するシステム開発を試みた。心臓を外部から補助することの影響は、超音波心エコーと融合させた超実時間ナノ数値流体解析システムにより定量モデル化することも試みた。結果、有効な心室補助効果が得られ、慢性評価実験も多臓器に重篤な合併症を引き起こさず4例3ヶ月以上継続しえた。
結論
さまざまなナノテク基盤技術を駆使して、完全埋め込み型心室収縮補助装置を開発した。解析手法を合わせて用いることにより、臨床例において個々の収縮をいかにサポートするか定量的に評価することが可能になり、オーダーメイド人工心筋が具現化する。

公開日・更新日

公開日
2005-06-02
更新日
-