ナノテクノロジーを用いた新規DDS製剤の研究開発

文献情報

文献番号
200400201A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノテクノロジーを用いた新規DDS製剤の研究開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
水島 裕(東京慈恵会医科大学DDS研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 上野晃憲(株式会社LTTバイオファーマ)
  • 桧垣惠(東京慈恵会医科大学DDS研究所)
  • 石原務(東京慈恵会医科大学DDS研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
30,240,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本申請研究の目的は、①ターゲット効果と徐放効果を併せて持つナノ粒子DDS製剤、②金属と無機塩による徐放性製剤、③多孔性ハイドロキシアパタイト微粒子の徐放製剤、④免疫療法に用いるナノ粒子製剤の開発を行うことである。
研究方法
今年度、①と②の製剤については最終的な製剤作製について検討を行った。③についてはいろいろな薬物封入の検討を行った。④については、サイトカインの測定と免疫染色などの基礎検討を行い、ナノ粒子作製を検討した。
結果と考察
①については、ステロイドの種類、更に添加する金属塩の量など種々の条件検討を行った後、実用化を視野に入れてスケールアップ方法を検討し、臨床試験用に充分な量を作製しても規格・安定性がほぼ同じであることを認めた。ナノ粒子投与後の血中濃度・血中滞留性、ならびに肝臓・脾臓への蓄積性を検討した。薬効試験で、未粒子製剤のベタメタゾンに比べ5倍程度強いことを認めた。②については、沈殿製剤のG-CSFの取り込み量を多くするべく検討した。最終製剤としてG-CSF1mg、亜鉛約1mg、リン酸10ミリモル、炭酸20ミリモルが適切であるとの結果が得られた。また、ほぼ亜鉛量により規定されているような皮膚刺激性を認めた。③については、エナント酸テストステロンやシクロスポリンAの脂溶性薬物またはインターロイキンを封入した多孔性ハイドロキシアパタイト粒子製剤を作製した。現在使用されている製剤より優れた血中濃度のプロフィールを示した。さらに同微粒子製剤は脂溶性薬剤の経口投与による経腸吸収製剤にも応用できる可能性が示された。④については、機能の回復のためインターフェロン産生を誘導するプラスミドDNAを作成し、SiRNA封入の炭酸カルシウムナノ粒子を作製した。
結論
今年度、①と②については、製品化へ向けての大量生産の方法ができつつある状況にまで到達したので、今後は次の開発段階へ進んでいくことが予想される。③については、たんぱく質がよく吸着すること、並びに脂溶性薬剤の皮下注射・静脈内注射・経口投与に応用できる可能性があることが示されたので、応用範囲が広いと考えられる。粒子への充填法を工夫することにより、かなり長い徐放を示すことも示された。④については、SiRNAが封入可能であることが示された炭酸カルシウム・ナノ粒子の免疫療法に関する今後の応用が大いに期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-06-02
更新日
-

文献情報

文献番号
200400201B
報告書区分
総合
研究課題名
ナノテクノロジーを用いた新規DDS製剤の研究開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
水島 裕(東京慈恵会医科大学DDS研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 上野晃憲(株式会社LTTバイオファーマ)
  • 檜垣惠(東京慈恵会医科大学DDS研究所)
  • 石原務(東京慈恵会医科大学DDS研究所)
  • 田中順三(独立行政法人 物質・材料研究機構生体材料センター)
  • 小林尚俊(独立行政法人 物質・材料研究機構生体材料センター)
  • 生駒俊之(独立行政法人 物質・材料研究機構生体材料センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本申請研究の目的は、①ターゲット効果と徐放効果を併せて持つナノ粒子DDS製剤、②金属を含む無機塩のみによる徐放性沈殿製剤、③多孔性ハイドロキシアパタイト微粒子を用いた徐放製剤、④ナノ粒子の免疫療法に用いる製剤の開発を行うことである。
研究方法
①から④についてそれぞれ検討した。
結果と考察
①については、金属イオンを用いてPLGAなどの生分解性ポリマー粒子内に充分な量を封入させたナノ粒子製剤を作製した。この製剤の炎症部位へのターゲッティングを確認している。いくつもの炎症モデルにおいて、1回投与で1週間から10日間の有効性を認め、非粒子製剤の5倍近い強力な抗炎症作用である。また、大量生産の方法を検討し、充分な規格・安定性が得られている。②については、本研究で作製したG-CSF製剤の皮下投与によって10日間の持続的白血球増加作用効果が確認されている。また、現行の投与量以下の量においても、本研究の製剤は一回注射で十分な効果であることが示された。③については、脂溶性薬剤が封入でき、皮下・静注・経口のいずれの投与にも応用可能であることが認められた。また、たんぱく医薬も粒子によく吸着し、徐放性製剤として応用できることが示された。④については、炭酸カルシウムのナノ粒子を用いればSiRNAの細胞内移行など免疫療法に応用可能であることが示された。また、これらの本研究の各DDS製剤に関する研究成果により、合計で29件の特許申請を行なうことができた。
結論
世界で初めてと思われるターゲットと徐放性機能を持つステロイドのナノ製剤①については、シオノギ製薬との共同研究に至っており、順調に進んでいる。おそらく平成17年度中には正式な開発が始まり、その後非臨床試験へと移行するものと思われる。また、G-CSFの徐放製剤②についても、中外製薬との共同研究が行なわれており、亜鉛の局所毒性をクリアーすれば、本年度中に共同開発つまり非臨床試験へと進むことが期待される。ハイドロキシアパタイト粒子③については、現在我々と共同で研究しているベンチャー企業によって成長ホルモンなどのたんぱく医薬を中心に開発が進められている。本研究の①②③の製剤については、おそらく実用化に向けて大きく動き出すと思われる。3年間の本研究は、計画・予定通りに進捗し、当初の目的であった様々なDDS製剤作製・開発についてほぼ達成できたと判断できる。

公開日・更新日

公開日
2005-06-02
更新日
-