ドライ比色法による微量血液分析在宅診断チップ

文献情報

文献番号
200400198A
報告書区分
総括
研究課題名
ドライ比色法による微量血液分析在宅診断チップ
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
堀池 靖浩(独立行政法人物質・材料研究機構(生体材料研究センター))
研究分担者(所属機関)
  • 沖 明男(独立行政法人物質・材料研究機構 生体材料研究センター)
  • 黒田大介(独立行政法人物質・材料研究機構 生体材料研究センター)
  • 守本祐司(防衛医科大学 医用電子工学講座)
  • 小川洋輝(株式会社アドビック)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
45,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、NiフリーSUS製の無痛針と採血システムを構築し、採取した微量血液の血漿成分からドライケミストリ法による生活習慣病用多項目を在宅で検査できる診断チップの開発を目的としている。
研究方法
針材としてNiフリーSUS材のFe-24Cr-2Moをフェライト状態で焼鈍温度を変えて細管化を図り、その細管の毒性試験を行う。平行して、外径150μmの SUS304製細管を用いた無痛針を開発し、電子的に血管の位置、深さを検出し穿刺を可能にする。診断チップ研究では、肝機能などの診断に対し試薬と試料の反応・測定をマイクロ流路の中で一度で行う一段反応型と尿素窒素などからガスを発生させ、呈色剤を導入した流路に導き吸光度を測定するニ段反応型の2種類のチップを作製する。更に、試薬を担持させる最適ゲルとその乾燥法を研究する。
結果と考察
NiフリーSUSの細管化は、従来の1000℃の焼鈍温度では細管表面の粗さが著しく、細管化には900℃が適していることを見出し、外径100μm、内径50μmの細管化に成功した。また、ヒト正常線維芽細胞を用いた毒性試験を行い、従来の316L鋼より優れた細胞親和性が確認された。SUS304製針は内壁を超平滑化し、10度の3面カットにより先鋭化して無痛化し、静脈は近赤外光照射により可視化し、針と皮膚表面間の電位測定より静脈の電子的検出システムを構築した。診断チップ研究では、一段型反応では、基質緩衝液を内包し、凍結乾燥後も酵素活性の低下しないゲルとして魚由来ゲルを見出し、標準血清と純水を乾燥前の液量分を添加した魚由来ゲルは極めて親水性が高く、マイクロ流路内での移動に優れていることが分かり、チップ設計のための最適光路長が判明した。しかし、経時で着色の問題があり、豚由来コラーゲンペプチドに変え、GOTを計測できた。二段反応では、ウレアーゼ溶液を吸水性ポリマーに担持・乾燥させ、尿素標準液を滴下し、生じたNH3ガスを下層流路の色素と反応させ、尿素濃度の測定に成功した。
結論
NiフリーSUS管の外径100μm化への細管化とその低毒性を確認した。また、静脈の所在を電子的に検出するシステムは自動採血実現への第1歩である。一段反応型チップでは使える試薬内包ゲルと乾燥法、及びチップ設計指針が得られた。2段反応による尿素窒素の測定が可能になり、電気化学的測定では難しいクレアチニン測定の実現の見通しが得られた。

公開日・更新日

公開日
2005-05-11
更新日
-