1分子PCRデバイスの開発

文献情報

文献番号
200400195A
報告書区分
総括
研究課題名
1分子PCRデバイスの開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
野地 博行(東京大学生産技術研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 竹内 昌治(東京大学生産技術研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、超微小の反応チャンバーとマイクロヒーターを利用した1分子PCRデバイスの開発を目指す。PCRは遺伝子診断等に広く利用されている手法であり、既にその反応の改良・デバイスの開発等が多数なされているにもかかわらず、1分子単位での反応観察の例は無い(1分子由来のDNA増幅はいくつか報告されているが、計測は分子単位ではない)。これまで、我々は生体分子の1イメージング実験や、マイクロ加工を利用して超微少溶液チャンバーとマイクロヒーターの開発を行ってきた。本研究では、PCR試薬と一緒にDNA1分子をフェムトリットルチャンバーに閉じ込め、これをマイクロヒーターで加熱してPCRを1分子単位で計測するデバイスを開発する。これによって、ハイスループットの最小・最速PCRが可能となる。
研究方法
本年度は以下の項目に関して、研究を実施した。
1:1分子DNAイメージングと高効率PCRを両立する反応条件検討
2:顕微観察用微小チャンバーにおけるPCR反応の検出
3:マイクロヒーターの開発とその評価 
結果と考察
1:1分子DNAイメージングと高効率PCRを両立する反応条件検討
DNA蛍光標識に用いられる蛍光試薬SYBR_Greenは、高濃度ではPCRを阻害するそこで、各SYBR_Green濃度における、1分子イメージングとPCR反応効率を検証した。その結果、5kbpのDNAフラグメントに関して、原液の1/2000~1/3000希釈溶液が最適であることが明らかになった。
2:顕微観察用微小チャンバーにおけるPCR反応の検出
上記で明らかになった条件で、顕微鏡観察用のチャンバー中におけるPCRの反応の確認を行っている。
3:マイクロヒーターの開発とその評価 
直径100ミクロン程度のμヒーターを作成し、その温度精度を評価した。その結果、23℃から90℃の範囲で、精度5℃以内かつ時定数約3秒の応答速度で微小空間の温度制御に成功した。
結論
1分子DNAイメージングとPCRを両立する条件が分かった。また、PCRを行うに十分なマイクロヒーターの開発にも成功した。

公開日・更新日

公開日
2005-07-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
-