化学修飾によるプラスミドDNAのナノ粒子化とDDS

文献情報

文献番号
200400194A
報告書区分
総括
研究課題名
化学修飾によるプラスミドDNAのナノ粒子化とDDS
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
西川 元也(京都大学大学院(薬学研究科))
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 ポリエチレングリコール(PEG)をプラスミドDNA(pDNA)に導入し、カチオン性ベクターとの複合体調製時の凝集体形成抑制によるpDNAのナノ粒子化を試みた。得られたナノ粒子化pDNA複合体による抗癌剤の腫瘍ターゲティングも検討した。
研究方法
 ASBAをpDNAに導入し、そのアミノ基にアミノ基反応型PEG誘導体を結合することでpDNA-PEGを得た。分子量10,000のPEIを用い、N/P比を指標に複合体を調製した。粒子径を動的光散乱法により、また表面電荷をゼータ電位計により測定した。ドキソルビシン(DXR)をpDNA-PEGと混合することでDXR結合体を得た。マウス肉腫S180細胞にDXRあるいはDXR複合体を添加し、24時間後の細胞数を測定した。S180細胞を皮下移植したマウスに対し、移植1週間後にDXRあるいはDXR複合体を静脈内投与し、一定時間後に摘出した腫瘍組織中DXR量を測定した。別途、経時的に固形腫瘍の大きさを測定した。
結果と考察
 PEG結合数はpDNAあたり16~20個であった。PEI複合体の粒子径はN/P比の増大とともに減少し、PEI/pDNA-PEG(20,000)およびPEI/pDNA-PEG(5,000)2では50 nm程度となり、PEI/pDNAと比較して有意に小さい粒子が得られた。これは、PEGがPEIによるpDNA凝集を抑制した結果と考えられる。表面電荷にも大きな相違が認められ、N/P比の増大によるゼータ電位の増大はpDNA-PEGでは有意に抑制された。PEI/pDNA-PEG/DXRは、S180細胞に対しDXR単独とほぼ同等の細胞増殖抑制効果を示した。PEI/pDNA-PEG/DXRを投与した場合は、DXR単独あるいはPEI/pDNA/DXR投与と比較して高い腫瘍組織中DXR濃度が得られ、腫瘍増殖を有意に抑制した。10倍量のDXRを投与した場合にも有意な抗腫瘍効果は認められなかったことから、ナノ粒子化pDNAを用いたデリバリーにより少なくとも10倍以上の効果増大が得られた。
結論
 新規化学修飾体-pDNA-PEG-の開発に成功し、PEI複合体の粒子サイズ縮小化が実現された。得られたDXR複合体は、担癌マウスへの尾静脈内投与により有意に高い抗腫瘍効果を示し、本ナノ粒子化pDNAを基盤としたDDSが腫瘍組織への抗癌剤デリバリーに有効であることが証明された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-13
更新日
-

文献情報

文献番号
200400194B
報告書区分
総合
研究課題名
化学修飾によるプラスミドDNAのナノ粒子化とDDS
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
西川 元也(京都大学大学院(薬学研究科))
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 ポリエチレングリコール(PEG)をプラスミドDNA(pDNA)に導入し、カチオン性ベクターとの複合体調製時の凝集体形成抑制によるpDNAのナノ粒子化を試みた。得られたナノ粒子化pDNA複合体による抗癌剤の腫瘍ターゲティングも検討した。
研究方法
 ASBA-DTPAをpDNAに導入し、111In標識を施した。別途、ASBAを導入し、そのアミノ基にPEG誘導体を結合することでpDNA-PEGを得た。分子量10,000のPEIを用い、N/P比を指標に複合体を調製した。粒子径を動的光散乱法により、また表面電荷をゼータ電位計により測定した。ドキソルビシン(DXR)をpDNA-PEGと混合することでDXR結合体を得た。マウス肉腫S180細胞にDXRあるいはDXR複合体を添加し、24時間後の細胞数を測定した。S180細胞を皮下移植したマウスに対し、移植1週間後にDXRあるいはDXR複合体を静脈内投与し、一定時間後に摘出した腫瘍組織中DXR量を測定した。別途、経時的に固形腫瘍の大きさを測定した。
結果と考察
 111In-pDNAにより臓器中放射活性と遺伝子発現間に良好な相関が得られた。PEG結合数はpDNAあたり約20個であった。PEI複合体の粒子径はN/P比の増大とともに減少し、PEI/pDNA-PEGでは50 nm程度と有意に小さい粒子が得られた。これは、PEGがPEIによるpDNA凝集を抑制した結果と考えられる。またN/P比の増大によるゼータ電位の増大はpDNA-PEGでは有意に抑制された。PEI/pDNA-PEG/DXRは、S180細胞に対しDXR単独とほぼ同等の細胞増殖抑制効果を示した。PEI/pDNA-PEG/DXRを投与した場合は、DXR単独あるいはPEI/pDNA/DXR投与と比較して高い腫瘍組織中DXR濃度が得られ、腫瘍増殖を有意に抑制した。10倍量のDXRを投与した場合にも有意な抗腫瘍効果は認められなかったことから、ナノ粒子化pDNAを用いたデリバリーにより少なくとも10倍以上の効果増大が得られた。
結論
 新規化学修飾体-pDNA-PEG-の開発に成功し、PEI複合体の粒子サイズ縮小化が実現された。得られたDXR複合体は、担癌マウスへの尾静脈内投与により有意に高い抗腫瘍効果を示し、本ナノ粒子化pDNAを基盤としたDDSが腫瘍組織への抗癌剤デリバリーに有効であることが証明された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-13
更新日
-