ミスマッチ塩基対結合リガンド固定化SNP検出デバイスに関する研究

文献情報

文献番号
200400193A
報告書区分
総括
研究課題名
ミスマッチ塩基対結合リガンド固定化SNP検出デバイスに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
中谷 和彦(京都大学工学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 児嶋 長次郎(奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科)
  • 小堀 哲夫(京都工芸繊維大学 高分子学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
54,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
遺伝子上の一塩基変異(SNPs)の分布を各個人について調べるSNPタイピングは、遺伝子レベルにおける疾病の早期診断や発症予防、個人に最適化された治療などのテーラーメード医療実現に必要不可欠な技術であり、その確立が急務となっている。本申請研究の目的は日本発のナノテクノロジーを基盤技術として、迅速、正確、かつ安価にSNPタイピングが行える診断デバイスを開発し、社会に提供することにある。
研究方法
ミスマッチ結合リガンドとミスマッチDNAの親和性を利用したアフィニティーHPLCによるヘテロデュプレックス解析法を確立することを目指した。リガンド固定化ポリマーを充填したHPLCデバイスでデュプレックスDNAを分析すると、完全に相補的なデュプレックスはリガンドとの相互作用が弱いために直ぐに溶出するが、ミスマッチを含むデュプレックスはリガンドとの強い相互作用のため遅く溶出され、ミスマッチの存在即ちSNPの有無が判定出来ると考えられる。このHPLCデバイスを並列化することによりハイスループットフォーマットに対応が可能である。
結果と考察
NDを用いたMBLカラムクロマトグラフィーではNaOHグラジエント条件下、G-GとG-AミスマッチDNAをNDへの結合力の違いを利用してフルマッチDNAと分離することができた。
NAカラムを用いた分析でもNAに対して強い結合力を持つことがΔTm測定で明らかになっているA-A、G-A、A-C、及びG-GミスマッチDNAがカラム表面に強く保持され、他のDNAとは明らかに異なるtRで溶出された。amNDカラムの場合には分析した全てのDNAがカラムに保持され、溶離液Bによるグラジエント開始後に溶出してきた。全てのDNAが保持されてしまったため分離度はそれほど良いとは言えないが、amNDとの特異的な相互作用の結果C-CミスマッチDNAを他のDNAと分離することに成功した。
結論
NaOHグラジエントを使用したMBLカラムクロマトグラフィーにより以下のミスマッチDNAをフルマッチDNAと分離することができた。
NDカラム G-G、G-A
NAカラム A-A、G-A、A-C、G-G
amNDカラム C-C
3つのカラムを合わせるとG-G、G-A、A-A、A-C、そしてC-Cの5種類のミスマッチDNAを検出することができることを意味する。またカラムの耐久性も十分であり、MBLカラムクロマトグラフィーを用いたミスマッチDNAの分離がSNP検出に応用可能な技術であることが示された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-21
更新日
-