臓器移植の成績向上と新規治療法開発に関する研究

文献情報

文献番号
200400095A
報告書区分
総括
研究課題名
臓器移植の成績向上と新規治療法開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
深尾 立(独立行政法人労働者健康福祉機構千葉労災病院)
研究分担者(所属機関)
  • 信友浩一(九州大学大学院医学研究院医療システム学教室)
  • 後 信(九州大学大学院医学研究院医療ネットワーク学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
臓器移植医療を一般医療として定着・普及させることを目的とし、腎臓、膵臓、肺移植において周術期の諸問題を解決し、短期的な成績向上を図る。移植医療の拠点の整備についての実現可能性を明らかにする。
研究方法
1.腎臓移植
 生体腎移植の腎提供者の鏡視下腎摘出術の妥当性、安全性、有効性を検討するために腎臓移植施設にアンケート調査を行う。腎移植後のステロイド早期離脱プロトコールを全国の腎移植施設で臨床応用し、その成績を集計した。
2.膵臓移植
 二層法での膵保存法を膵臓と膵島移植に応用し、移植後の移植膵臓、膵島機能について検討し、その有効性を検討した。
3.肺移植
 肺移植認定4施設で施行された肺移植64例を対象とし、共通のデータベースを作成し、問題点を明らかにした。
4.臓器移植の評価
 移植医療に関与した研究者・臨床医、今後移植医療を中心とした先進医療拠点作りを担っている・担いたい方々等を対象に、系統的にヒアリングし、種々の問題点などをヒアリングし討議した。
結果と考察
各々の研究テーマについて、次の結果を得た。
1.腎臓移植
生体腎移植ドナー鏡視下腎摘出術は約半数に行われ、大きな合併症の報告は無く、安全性が明らかになった。早期ステロイド離脱療法は、100例中35例で導入され、6ヵ月の時点で17例が離脱継続可能であった。
2.膵臓移植
 膵臓移植5例は良好な移植膵機能を示し、膵島分離症例9例から4例の移植が行われ、良好な移植膵島機能を示し、二層法の有効性が示された。
3.肺移植
肺移植64例の内、52例が生存中で、良好なQOLが得られた。全体の5年生存率は77.9%であり、国際心肺移植学会の5年生存率47%よりも良好であった。
4.臓器移植の評価
移植医療等の先進医療研究の拠点化の条件を探った。拠点化条件の妥当性を従来の拠点化方式(国家直轄事業)と比べ、新技術の普及が迅速化・効率化・低リスク化することが期待出来ることがわかった。
結論
臓器移植短期成績向上に関する研究として、臓器移植の臨床の場での諸問題が明確になり、その解決が示され臓器移植の成績向上の方策が示された。移植医療の拠点化により多くのことを期待出来ることがわかった。

公開日・更新日

公開日
2005-06-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200400095B
報告書区分
総合
研究課題名
臓器移植の成績向上と新規治療法開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
深尾 立(独立行政法人労働者健康福祉機構千葉労災病院)
研究分担者(所属機関)
  • 田中紘一(京都大学医学部移植外科)
  • 松田 暉(大阪大学大学院医学系研究科臓器制御外科)
  • 白倉良太(大阪大学大学院医学系研究科未来医療専攻組織再生医学講座臓器置換学研究部)
  • 信友浩一(九州大学大学院医学研究院医療システム学教室)
  • 後 信(九州大学大学院医学研究院医療ネットワーク学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
腎臓、肝臓、心臓の移植において周術期の残された諸問題を解決し、臨床が始まった膵臓、肺移植ついては臨床例の検討から問題点を明らかにする。各臓器の移植分野において短期的成績向上を図ることを目的とする。また、臓器移植の倫理性、安全性、公共性に関する世界の情報収集し、移植医療等の先進医療研究拠点の整備について実現可能性を明らかにする。
研究方法
1,臓器移植の臨床
腎では提供者の鏡視下腎摘出術、ABO血液型不適合腎移植、早期ステロイド離脱プロトコール、死体腎移植の新配分ルールを検証した。肝では成人血液型不適合肝移植、生体肝移植の医療経済について検討を行った。心臓では再灌流障害軽減のための白血球除去灌流液の有用性を検討した。膵臓では二層法の有効性を検討した。肺では保存液ET-Kyoto液を検討し、全移植患者のデータベースを作成した。
2,海外移植情報
倫理性、安全性、公共性に関する世界の情報収集の為、WHO国際会議に参加し、討論した。
3,臓器移植の評価
移植医療に関する研究者・臨床医などを対象に系統的にヒアリングし、種々の問題点などをヒアリングし討議した。
結果と考察
1,臓器移植の臨床
腎での鏡視下腎摘出の安全性、血液型不適合腎移植の問題点、早期ステロイド離脱プロトコールの成果、死体腎移植の新配分ルールでの成果が示された。肝で成人血液型不適合移植における抗凝固剤の肝動注療法の有効性が示され、肝移植もDPCに十分に対応可能との結果を得た。心臓では白血球除去灌流液の有効性、膵の二層法による保存の有効性、肺ででのET-Kyoto液の有効性、臨床での良好な成果が示された。
2,海外移植情報
臓器移植の倫理性、安全性、公共性に関するWHO国際会議に参加し、第113回理事国会議への報告書作成に参加した。この報告を基に第57回総会への提案が採択された。
3,臓器移植の評価
拠点の必要性について緊急性はないが、効率性からは施設の集約は必要であるが、既存の政策との整合性は認められず、移植医療等の先進医療研究の拠点化の条件を明らかにした。
結論
臓器移植の臨床の場での諸問題が明らかになり、その解決が示され、臓器移植の成績の向上の方策が示された。移植医療の拠点化により多くのことを期待出来ることがわかった。

公開日・更新日

公開日
2005-06-08
更新日
-