造血系再生医療への応用を目的とした増殖分化制御システムの開発研究

文献情報

文献番号
200400091A
報告書区分
総括
研究課題名
造血系再生医療への応用を目的とした増殖分化制御システムの開発研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
小澤 敬也(自治医科大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 久米 晃啓(自治医科大学医学部)
  • 花園  豊(自治医科大学医学部)
  • 長谷川 護(ディナベック株式会社)
  • 寺尾 恵治(国立感染症研究所筑波実験用霊長類センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
32,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)選択的増幅遺伝子(SAG)を利用した造血系細胞体内増幅法、2)非造血系組織からの造血系再生を目指した分化転換技術、3)霊長類ES細胞からの造血系再生技術、4)染色体部位特異的遺伝子組込み(TVI: Targeted Vector Integration)法、の開発を進めた。
研究方法
1)サルを用いた実験系でSAGシステムと骨髄還流置換法(BMR法)の組み合わせを検討した。2)脱分化誘導遺伝子(Msx1遺伝子)搭載AAVベクターを骨格筋に注射し、その部位から採取した単核細胞の造血系再構築能を調べた。3)サルES細胞の造血系分化について検討した。(i) センダイウイルスベクター(SeV)によるサルES細胞の遺伝子操作法を開発した。 (ii) ヒツジ胎児にサルES細胞を移植した。 (iii)サルES細胞をサル胎児肝臓へ同種移植した。4)AAVの二つのコンポーネント(ITR配列とRep蛋白質)を利用し、第19番染色体長腕AAVS1領域に遺伝子を組み込ませる方法について、KM-102細胞株への応用実験を行った。
結果と考察
1)サルの系で、EPO反応型SAGとBMR法の組み合わせが有効であった。2)Msx1遺伝子を一過性に発現させたマウス骨格筋の中に、造血系再構築能をもつ幹細胞が増加することを示した。骨格筋が、脱分化段階を経て、造血系再構築能を持った細胞に再分化した可能性が示唆された。3)(i) SeVベクターによって導入したGFP遺伝子の発現は,抗ウイルス剤リバビリン添加によって調節できる可能性を示した。(ii) サルの造血を一部持つヒツジの作製に成功した。(iii) 移植細胞の中からSSEA4陽性細胞を予め除去することにより、テラトーマ形成を抑制できた。4)KM-102細胞株への応用で、部位特異的遺伝子組込みが確認できた。
結論
1)SAGシステムとBMR法との組み合わせが有効であった。2)Msx1の一過性発現により、筋肉を造血系細胞に転換できる可能性が示された。3)・SeVベクターによるES細胞への遺伝子導入法を開発した。・サルの造血を一部有するキメラヒツジが誕生した・サルES細胞のサル胎児肝臓内への移植では、SSEA4陰性細胞の除去でテラトーマ形成が防止できた。4)TVI法を間葉系幹細胞への遺伝子導入に応用した。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-

文献情報

文献番号
200400091B
報告書区分
総合
研究課題名
造血系再生医療への応用を目的とした増殖分化制御システムの開発研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
小澤 敬也(自治医科大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 久米 晃啓(自治医科大学医学部)
  • 花園  豊(自治医科大学医学部)
  • 長谷川 護(ディナベック株式会社)
  • 寺尾 恵治(国立感染症研究所筑波実験用霊長類センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)選択的増幅遺伝子(SAG)を利用した造血系細胞体内増幅法、2)非造血系組織からの造血系再生を目指した分化転換技術、3)霊長類ES細胞からの造血系再生技術、4)染色体部位特異的遺伝子組込み(TVI: Targeted Vector Integration)法、などの開発を行った。
研究方法
1)EPO反応型第二世代SAGに関して、慢性肉芽腫症モデルマウスやサルを用いた実験を行った。また、骨髄還流置換法(BMR法)と組み合わせた前臨床研究を行った。2)脱分化誘導遺伝子(Msx1遺伝子)搭載AAVベクターを骨格筋に注射し、その部位に出現した単核細胞の造血系分化能を調べた。3)(i) センダイウイルスベクター(SeV)によるサルES細胞への遺伝子導入法、(ii)サルES細胞のin vitro造血系分化、 (iii) ヒツジ胎児へのサルES細胞の移植、 (iv)サル胎児肝臓へのサルES細胞の同種移植、を調べた。4)AAVのコンポーネント(ITR配列とRep蛋白質)を利用し、第19番染色体長腕AAVS1領域特異的遺伝子組込み法について検討した。
結果と考察
1)SAGシステムとBMR法の組み合わせが有効で、慢性肉芽腫症の造血幹細胞遺伝子治療への応用が考えられる。2)Msx1を一過性に発現させたマウス骨格筋の中に、造血前駆細胞ならびに造血系再構築能をもつ幹細胞が増加することを示した。骨格筋が、脱分化段階を経て、造血系細胞に再分化した可能性が示唆された。3)(i) SeVベクターによりES細胞へ遺伝子導入できること、遺伝子発現を抗ウイルス剤のリバビリンで調節できる可能性を示した。(ii)サルES細胞の血液細胞への分化条件を示した。(iii) サルの造血を一部持つヒツジの作製に成功した。(iv) 移植細胞の中からSSEA4陽性細胞を予め除去することにより、テラトーマ形成を抑制できた。4)KM-102細胞株への応用で、部位特異的遺伝子組込みを確認できた。
結論
1)SAGシステムを開発した。2)Msx1の一過性発現により、筋肉を造血系細胞に転換できる可能性が示された。3)・SeVベクターによるES細胞への遺伝子導入法を開発した。・サルの造血を一部有するキメラヒツジが誕生した・サルES細胞のサル胎児肝臓内への移植で、テラトーマ形成を防止できた。4)TVI法を間葉系幹細胞の遺伝子操作に応用した。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-