臍帯血を用いた造血細胞移植の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200400090A
報告書区分
総括
研究課題名
臍帯血を用いた造血細胞移植の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
齋藤 英彦((独)国立病院機構名古屋医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 俊一(東海大学医学部)
  • 原 宏 (兵庫医科大学)
  • 直江 知樹(名古屋大学大学院)
  • 高倉 伸幸(金沢大学がん研究所)
  • 仲野 徹(大阪大学大学院)
  • 高橋 恒夫(東京大学医科学研究所)
  • 小澤 敬也(自治医科大学)
  • 堀田 知光(東海大学医学部)
  • 中畑 龍俊(京都大学大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
63,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(1)我が国における非血縁者間臍帯血移植例の臨床成績の収集・解析、予後因子の同定
(2)2つの前向き臨床試験「GVHD予防法」、「臍帯血を用いたミニ移植」の推進
(3)安全で効率的なGMPに準拠した臍帯血の体外増幅法の開発、および成人に対する複数臍帯血移植の実施
(4)臍帯血造血幹細胞の未分化性の維持・増殖、移植後の免疫システムの再構築、血小板回復に関する研究
(5)胎盤由来の間葉系細胞の再生医療への応用に関する研究の推進
(6)臍帯血の医薬品としての有効性、安全性に関する基準の策定
研究方法
臨床成績の収集・解析は、患者やドナーに関わるプライバシーの保護に配慮し、データーを匿名化して行う。臨床研究は各施設の倫理委員会の承認と患者および患者家族から十分なインフォームドコンセントを得て行う。
臍帯血や胎盤を研究目的で使う場合には、ドナーに研究目的、期間、プライバシーの保護などにつき説明し同意を得た上で実施する。研究全般を通じて、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針を遵守する。ヒト胚性幹細胞は使用しない。
結果と考察
我が国における成人に対する非血縁者間臍帯血移植706例を追跡調査・解析し、非血縁者間骨髄移植の成績と比較したところ、一部の施設を除いては骨髄移植に劣ることが明らかとなった。さい帯血バンクネットワークの臍帯血の質は現在の国際基準にほぼ合致することを確認した。成人に対して11例の複数臍帯血同時移植を4施設において行い、短期間の安全性に問題のないことを示した。「至適GVHD予防法の無作為臨床試験」は58例の登録があったが、目標の112例まで達しなかった。体外増幅法した臍帯血造血幹細胞による移植に向けて、GMPに準拠した基盤整備を進め、臨床プロトコールを完成した。臍帯血造血幹細胞の未分化性の維持、血管新生誘導能、幹細胞の生着に関する研究を進めた。
結論
臍帯血を用いた造血細胞移植を確立するために、非血縁者間臍帯血移植の成績を集計・解析し、成人に対する移植成績は未だ非血縁者間骨髄移植に劣ることを示した。臍帯血の体外増幅法を開発し、GMPに準拠した基盤整備を終えて、臨床プロトコールの承認を倫理委員会でうけた。また、複数臍帯血同時移植が安全に施行できることを少数例において示した。臍帯血幹細胞の血管誘導能、胎盤由来の間葉系細胞の再生医療への応用の研究を進めた。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-

文献情報

文献番号
200400090B
報告書区分
総合
研究課題名
臍帯血を用いた造血細胞移植の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
齋藤 英彦((独)国立病院機構名古屋医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤俊一(東海大学医学部)
  • 原 宏(兵庫医科大学)
  • 直江 知樹(名古屋大学大学院)
  • 高倉 伸幸(金沢大学がん研究所)
  • 仲野 徹(大阪大学大学院)
  • 高橋 恒夫 (東京大学医科学研究所)
  • 小澤 敬也(自治医科大学)
  • 堀田 知光(東海大学医学部)
  • 中畑 龍俊(京都大学大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(1)臍帯血移植のEBM(根拠に基づく医療)を確立するために、非血縁者間臍帯血移植の臨床成績の収集・解析、予後因子の同定、骨髄移植の成績との比較を行う。また、2つの前向き臨床試験「GVHD予防法」、「臍帯血を用いたミニ移植」を推進する。
(2)成人への適応拡大のために安全で効率的なGMPに準拠した臍帯血の体外増幅法を開発する。また、複数臍帯血同時移植を実施する。
(3)臍帯血造血幹細胞の未分化性の維持・増殖、移植後の免疫システムの再構築の研究をする。
(4)胎盤由来の間葉系細胞の再生医療への応用に関する研究を推進する。
研究方法
臨床成績の収集・解析は、患者やドナーに関わるプライバシーの保護に配慮し、データーを匿名化して行う。臨床研究は各施設の倫理委員会の承認と患者および患者家族から十分なインフォームドコンセントを得て行う。
臍帯血や胎盤を研究目的で使う場合には、ドナーに研究目的、期間、プライバシーの保護などにつき説明し同意を得た上で実施する。研究全般を通じて、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針を遵守する。ヒト胚性幹細胞は使用しない。
結果と考察
非血縁者間臍帯血移植1304例を集計・解析し、移植成績を左右する予後因子を同定した。生着と最も強い相関があったのは移植されたCD34陽性細胞数であり、無イベント生存率(EFS)と相関したのは、移植時期、患者年齢、疾患の種類であった。小児急性白血病に対しては非血縁者間骨髄移植とほぼ同等の有効性、安全性を持つことを明らかにした。11例中7例の複数臍帯血同時移植は一年後に無病生存しており短期の副作用も認めなかった。体外増幅臍帯血を用いた移植のための基盤整備を完了し、臨床プロトコールの承認を倫理委員会で受けた。まもなく体外増幅した臍帯血を用いた急性白血病に対する移植のPhase I/II studyが予定されている。世界的にも最先端をいく研究である。
臍帯血造血幹細胞の未分化性維持、血管新生誘導、胎盤の間葉系細胞の再生医療への応用の研究を進めた。
結論
我が国における非血縁者間臍帯血移植の成績を集計・解析し、予後因子を同定した、11例の複数臍帯血同時移植を行い、短期の安全性を確認した。臍帯血造血幹細胞の体外増幅法の基盤整備を行った。臍帯血造血幹細胞の未分化性維持機構、血管新生誘導能などの研究を進め、また胎盤由来の間葉系細胞の再生医療への可能性を検討した。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-