羊膜を用いた再生上皮シートによる角膜再生の基礎的・臨床的研究

文献情報

文献番号
200400088A
報告書区分
総括
研究課題名
羊膜を用いた再生上皮シートによる角膜再生の基礎的・臨床的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
坪田 一男(慶應義塾大学 医学部眼科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 木下 茂(京都府立医科大学 眼科学教室)
  • 大橋 裕一(愛媛大学医学部 眼科学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
28,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
今回の研究では、羊膜を用いた上皮シートの臨床的有用性と問題点について検討し、この技術の臨床応用の具現化と製品化に向けての検討を中心に研究を行う。また、羊膜の持つ抗炎症作用の解明と免疫学的特性について研究すると共に、共同研究者の開発したバイオポリマーを用いた人工角膜作成での羊膜の応用、さらに上皮幹細胞(SP細胞)のシートへの導入や口腔粘膜上皮による培養シートの作成と臨床応用についても検討する。
研究方法
研究参加施設において共通のプロトコールで難治性眼表面疾患患者に対して上皮シート移植を行い、その効果と安全性を調べた。また、当施設における角膜上皮シート移植のこれまでの成績をまとめて検討した。両眼性の眼表面疾患に対し、免疫学的拒絶反応を生じさせない治療法の開発を目的として、自己の口腔粘膜移植の開発と臨床応用を検討した。
羊膜の抗炎症作用の解明のために、羊膜上に再生した角結膜上皮細胞には、免疫反応を制御するHLA-Gが強く発現しているという仮説を検証し、羊膜移植の抗炎症作用との関連性を検討した。さらに、人工角膜の開発を目的に、バイオポリマー上への羊膜上皮シートの接着について検討した。角膜の未分化細胞の分離・同定・培養法を検討した。
結果と考察
羊膜上にヒト角膜上皮細胞を培養して作成した上皮シート移植の臨床応用を行い、多施設共同研究の結果、遠隔地への運搬に関しても問題のないことが示された。また、術後の免疫抑制を要さない自己口腔粘膜上皮シートの作成に成功し、臨床応用を達成した。基礎的研究面では、角膜上皮および実質における未分化細胞の分離に成功し、幹細胞を組み込んだ人工角膜の作成に向けて進歩が得られた。羊膜の抗炎症作用について、HLA-G分子を再生角結膜上皮に誘導するメカニズムがあることを示した。さらに、人工ポリマーと羊膜上皮シートを組み合わせたハイブリッド人工角膜を開発し、動物実験でその安全性と術後上皮化が得られることが示された。
結論
羊膜を基質として用いて上皮シートをin vitroで作成し、これを眼表面に移植する再建手術の実用化は、着実に進歩している。本研究においてその基礎的裏づけと臨床応用の実現が達成され、更に今後の発展や応用が期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-06-06
更新日
-

文献情報

文献番号
200400088B
報告書区分
総合
研究課題名
羊膜を用いた再生上皮シートによる角膜再生の基礎的・臨床的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
坪田 一男(慶應義塾大学 医学部眼科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 木下 茂(京都府立医科大学 眼科学教室)
  • 大橋 裕一(愛媛大学 医学部眼科学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
今回の研究では、羊膜を用いた上皮シートの臨床的有用性と問題点について検討し、この技術の臨床応用の具現化と製品化に向けての検討を中心に研究を行う。また、羊膜の持つ抗炎症作用の解明と免疫学的特性について研究すると共に、共同研究者の開発したバイオポリマーを用いた人工角膜作成での羊膜の応用、さらに上皮幹細胞(SP細胞)のシートへの導入や口腔粘膜上皮による培養シートの作成と臨床応用についても検討する。
研究方法
多施設共同研究を行うため、上皮シート輸送を行い、そのviabilityについて検討を行なった。研究参加施設において共通のプロトコールで難治性眼表面疾患患者に対して上皮シート移植を行い、その効果と安全性を調べた。また、自己の口腔粘膜上皮細胞を採取して羊膜上に培養して上皮シートを作成し、これを移植に用いることを検討した。
羊膜の免疫学的特性の解明のため、角膜上皮でのHLA-Gのタンパクレベルでの発現を免疫染色で検討し、その機能についても検討した。
上皮幹細胞の分離・培養のため、 Hoechst33342を用い活発な色素排出能を持つ細胞(side population細胞:SP細胞)の分離・培養し、角膜上皮への分化誘導を試みた。
羊膜シート膜移植片の応用として、合成ポリマー(PVA)の上にヒト羊膜を重合させることで、ポリマー上への上皮細胞の生着を促すことができるかどうかを検討した。これをウサギ角膜に移植して、上皮化が得られるかどうかについても検討した。
結果と考察
羊膜上にヒト角膜上皮細胞を培養して作成した上皮シート移植の臨床応用を行い、多施設共同研究の結果、遠隔地への運搬に関しても問題のないことが示された。また、術後の免疫抑制を要さない自己口腔粘膜上皮シートの作成に成功し、臨床応用を達成した。基礎的研究面では、角膜上皮および実質における未分化細胞の分離に成功し、幹細胞を組み込んだ人工角膜の作成に向けて進歩が得られた。羊膜の抗炎症作用について、HLA-G分子を再生角結膜上皮に誘導するメカニズムがあることを示した。さらに、人工ポリマーと羊膜上皮シートを組み合わせたハイブリッド人工角膜を開発し、動物実験でその安全性と術後上皮化が得られることが示された。
結論
羊膜を基質として用いて上皮シートをin vitroで作成し、これを眼表面に移植する再建手術の実用化は、着実に進歩している。本研究においてその基礎的裏づけと臨床応用の実現が達成され、更に今後の発展や応用が期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-06-09
更新日
-