文献情報
文献番号
200400081A
報告書区分
総括
研究課題名
低出力体外衝撃波を用いた閉塞性動脈硬化症に対する非侵襲性血管新生療法の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
下川 宏明(九州大学大学院医学研究院循環器内科学)
研究分担者(所属機関)
- 前原喜彦(九州大学大学院医学研究院 消化器総合外科学)
- 松田武久(九州大学大学院医学研究院 医用工学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
最近、従来の治療法では十分な治療効果が得られない重症の狭心症や下肢の閉塞性動脈硬化症の症例が増えてきている。我々は、体外から心臓に衝撃波を照射することにより、動物(ブタ)モデルにおいて高度の心筋虚血を著明に回復させるほどの血管新生を誘導することに成功し(Circulation. 2004.)、現在、臨床試験でも良好な結果を得つつある。この画期的な体外式血管新生療法は、麻酔や手術操作が一切不要なこと、必要ならば繰り返し実施可能であること、副作用がないこと、医療費が大幅に削減できること、など多くの特徴がある。本研究では、閉塞性動脈硬化症に対する非侵襲性の体外衝撃波療法の開発を目指す。
研究方法
本研究では以下の基礎的研究を行う。
(1) ヒト培養血管内皮細胞における検討
1×105個の細胞に様々な出力の衝撃波を照射し、血管新生関連分子の遺伝子発現を検討する。
(2) ウサギ下肢虚血モデルにおける検討
(2)-1. 重症モデルにおける効果
左大腿動脈近位部から遠位部まで結紮後切除し、片側重度下肢虚血モデルを作成する。その後、同部に衝撃波治療(200発/1ヶ所、20?30ケ所)を計3回施行し、4週間後に下肢血流の評価を行う。
(2)-2. 軽症モデルにおける効果
両後肢において膝窩動脈・伏在動脈を結紮し、中筋枝のみを温存することでpoor runoffモデルを作成する。結紮後3日目から、片側下肢のみに衝撃波治療(同上)を施行し、4週間後に同様の評価を行う。
(1) ヒト培養血管内皮細胞における検討
1×105個の細胞に様々な出力の衝撃波を照射し、血管新生関連分子の遺伝子発現を検討する。
(2) ウサギ下肢虚血モデルにおける検討
(2)-1. 重症モデルにおける効果
左大腿動脈近位部から遠位部まで結紮後切除し、片側重度下肢虚血モデルを作成する。その後、同部に衝撃波治療(200発/1ヶ所、20?30ケ所)を計3回施行し、4週間後に下肢血流の評価を行う。
(2)-2. 軽症モデルにおける効果
両後肢において膝窩動脈・伏在動脈を結紮し、中筋枝のみを温存することでpoor runoffモデルを作成する。結紮後3日目から、片側下肢のみに衝撃波治療(同上)を施行し、4週間後に同様の評価を行う。
結果と考察
(1) ヒト培養血管内皮細胞における検討
低出力の衝撃波エネルギーレベル(0.09 mJ/mm2)で、VEGFとその受容体であるFlt-1のmRNAレベルの発現亢進が認められた。
(2) ウサギ下肢虚血モデルにおける検討
(2)-1. 重症モデルにおける効果
衝撃波治療により、血圧比(患側/正常下肢)、総腸骨動脈血流比(同)および毛細血管数の増加を認めた。
(2)-2. 軽症モデルにおける効果
衝撃波治療側の下肢血流が、未治療側と比べ改善を示した。
これらの結果は、衝撃波治療が新生側副血管の再生を亢進させて、下肢の血流を改善させることを示唆している。
低出力の衝撃波エネルギーレベル(0.09 mJ/mm2)で、VEGFとその受容体であるFlt-1のmRNAレベルの発現亢進が認められた。
(2) ウサギ下肢虚血モデルにおける検討
(2)-1. 重症モデルにおける効果
衝撃波治療により、血圧比(患側/正常下肢)、総腸骨動脈血流比(同)および毛細血管数の増加を認めた。
(2)-2. 軽症モデルにおける効果
衝撃波治療側の下肢血流が、未治療側と比べ改善を示した。
これらの結果は、衝撃波治療が新生側副血管の再生を亢進させて、下肢の血流を改善させることを示唆している。
結論
本研究の結果から、体外衝撃波治療は、血管新生作用により閉塞性動脈硬化症などの虚血性疾患に対して有効な治療法となる可能性が示唆された。
公開日・更新日
公開日
2005-05-12
更新日
-