C型ナトリウム利尿ペプチド賦活化による軟骨欠損修復のための新しい治療法の開発とその臨床応用

文献情報

文献番号
200400078A
報告書区分
総括
研究課題名
C型ナトリウム利尿ペプチド賦活化による軟骨欠損修復のための新しい治療法の開発とその臨床応用
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
中尾 一和(京都大学大学院・医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 寒川 賢治(国立循環器病センター研究所)
  • 小松 弥郷(京都大学大学院・医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
34,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
軟骨の成長においてCNPとその受容体であるguanylyl cyclase B (GC-B)が重要であり、CNP欠損マウスでは成長板軟骨の発育障害の結果、四肢体幹の著しい短縮が起こること、逆に軟骨にCNPを過剰発現するトランスジェニックマウスでは四肢体幹の著しい伸張をきたすことを明らかにした。更に四肢短縮型の低身長をきたす疾患であるMaroteaux型acromesomelic dysplasia がGC-Bの不活性型遺伝子変異が原因であることが発見され、ヒトにおけるCNP/GC-B系の重要性が認識されるに至った。CNP/GC-B系の軟骨再生への応用を検討し、軟骨無形成症モデルマウスの四肢体幹の短縮が軟骨におけるCNPの過剰発現により正常まで是正されること、このCNPの作用は、軟骨無形成症の原因である3型FGF受容体の活性型遺伝子変異によるMAPキナーゼ経路の活性化を抑制し、基質産生の増加により成長板軟骨を増大させることによることを明らかにした 。以上を基に新規の軟骨成長因子としてCNPの作用を発見し、この作用を軟骨組織の欠損修復へ応用できるか検討を行った。
研究方法
①CNPの治療薬としての効果を検討する目的で、循環血液中CNP濃度を上昇させるCNP過剰発現マウス(SAP-CNP-Tg)を作製し、CNPの全身投与と同様の状況を遺伝子改変動物で再現する。 ②SAP-CNP-Tgマウスから得られた結果からマウスにCNPに合成ペプチドCNP22投与を行う。③ヒトにおいてもCNPの機能不活化変異が存在し、軟骨に異常を呈する可能性があり、広く先天性の軟骨異常症患者においてCNP経路の遺伝子変異の有無を検討し、その病態生理的意義の解明につなげる。
結果と考察
SAP-CNP-Tgマウスにおいて四肢、体幹の過剰伸長、成長板軟骨及び関節軟骨の肥大を観察し、血中CNPが軟骨に作用し、肥大化を引き起こすことを明らかにした。マウスに合成CNP投与を行い、CNPの有用性を証明する成果を得た。CNP/GC-B系がヒトの骨系統疾患の原因遺伝子であることが証明されたことから、CNP/GC-B系は骨・軟骨における新しい制御機構として注目されており、この分野の基礎的、臨床的研究が益々進歩することが予想される。
結論
本研究により、成長板軟骨を含む軟骨組織におけるCNP/GC-B系の機能的意義とその分子機構を解明し、軟骨再生を標的とするCNP/GC-B系のトランスレーショナルリサーチが推進され、軟骨無形成症を含む先天性骨軟骨疾患のみならず、変形性関節症等の関節軟骨病変に対する新規治療法の開発につながることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-

文献情報

文献番号
200400078B
報告書区分
総合
研究課題名
C型ナトリウム利尿ペプチド賦活化による軟骨欠損修復のための新しい治療法の開発とその臨床応用
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
中尾 一和(京都大学大学院・医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 寒川 賢治(国立循環器病センター研究所)
  • 小松 弥郷(京都大学大学院・医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
主任研究者は20年間にわたり、一貫して新規生理活性ペプチドの単離同定と生理的・臨床的意義の解明に向けた研究を実践し、その成果を踏まえた臨床応用を展開してきた。特に 心不全の診断法としてのANPとBNPの測定法の開発、急性心不全の治療薬としてANPの臨床応用は、基礎研究の成果を臨床応用に発展させるトランスレーショナルリサーチのわが国における成功の一例と考えられている。更にこれまでの遺伝子改変動物を用いた検討から、軟骨の形成においてCNPとその受容体であるguanylyl cyclase B (GC-B)が重要であり、CNPノックアウトマウスでは成長板軟骨の発育障害の結果、四肢体幹の著しい短縮が起こること、逆に軟骨にCNPを過剰発現するトランスジェニックマウスでは成長板軟骨の増大の結果、四肢体幹の著しい伸張をきたすことを発見した。この発見を契機として四肢短縮型の低身長をきたす疾患であるMaroteaux型acromesomelic dysplasia がGC-Bの不活性型遺伝子変異が原因であることが発見され、ヒトの骨系統疾患におけるCNP/GC-B系の重要性が認識されるに至っている。以上の知見を踏まえて、主任研究者はCNP/GC-B系の軟骨再生への応用を検討した。
研究方法
結果と考察にまとめて記載。
結果と考察
主要な内軟骨性骨化異常疾患である軟骨無形成症モデルマウスの四肢体幹の短縮が軟骨におけるCNPの過剰発現により正常まで是正されることを明らかにした。更にCNPの軟骨細胞への作用は、軟骨無形成症の原因である3型FGF受容体の活性型遺伝子変異によるMAPキナーゼ経路の活性化を抑制し、基質産生の増加により成長板軟骨を増大させることによることを明らかにした 。循環血液中CNP濃度を上昇させるマウス(SAP-CNP-Tg)において四肢、体幹の過剰伸長、成長板軟骨の肥大を観察し、血中CNPが軟骨に作用し、肥大化を引き起こすことを明らかにした。マウスに合成CNP投与を行い、CNPの有用性を証明する成果を得た。CNP/GC-B系がヒトの骨系統疾患の原因遺伝子であることが証明されたことから、CNP/GC-B系は骨・軟骨における新しい制御機構として注目されており、この分野の基礎的、臨床的研究が益々進歩することが予想される。
結論
以上の研究成果から、成長板軟骨を含む軟骨組織におけるCNP/GC-B系の機能的意義とその分子機構が明らかになり、骨、軟骨、関節を標的とするCNP/GC-B系のトランスレーショナルリサーチが推進された。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-