月経血・末梢血および臍帯血由来の間葉系幹細胞の提供システムのすみやかな確立と成育疾患への適応

文献情報

文献番号
200400077A
報告書区分
総括
研究課題名
月経血・末梢血および臍帯血由来の間葉系幹細胞の提供システムのすみやかな確立と成育疾患への適応
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
梅澤 明弘(国立成育医療センター研究所生殖医療研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 室井 一男(自治医科大学輸血・細胞移植部無菌治療部血液学)
  • 武田 伸一(国立精神神経センター神経研究所 遺伝子疾患治療研究部)
  • 落合 淳志(国立がんセンター研究所支所臨床腫瘍病理部)
  • 望月 直樹(国立循環器病センター研究所 分子循環器病学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
月経血、臍帯血、末梢血由来のヒト間葉系細胞を増殖させ、先天性代謝疾患を含めた遺伝病および細胞治療が有効とされる疾病に対する新たな細胞治療法を開発する。
研究方法
月経血・臍帯血・末梢血由来のヒト間葉系幹細胞を用いる。分離培養したヒト間葉系細胞の性質を細胞表面マーカー、gene chip (Affymetrix) を用いたプロファイリングを行い、そのデータを利用して、これらの細胞が多分化能を有す状態を保つ培養条件、方法等を確立するための解析を進行させている。細胞の臨床応用を視野におき、医薬品GCP(平成9年厚生省令第28号「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」)と等しいレベルでの科学性および倫理性を確保する。①治療プロトコルにに関しては、分担研究者の室井(指導:小澤敬也教授)らが検討し、②ヒト細胞に関しては、具体的な手続き(due process)を通じて、倫理委員会における議論の元に調整する。
結果と考察
マウス、ラット、ウサギ、ウシ、ブタ、イヌの骨髄から多分化能を有する間葉系細胞を多数樹立し、心筋細胞、脂肪細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨格筋細胞、神経細胞への分化を示し、ヒト間葉系細胞に関しては月経血、胎盤、臍帯血、骨髄より間葉系細胞の培養を開始しており、それらが少なくとも複数の分化形質を示した。これらの成果を利用して目的の細胞へ分化しうる月経血・臍帯血・末梢血由来のヒト間葉系細胞を選別し、疾患モデル動物で確立された治療戦略をヒトへ応用することを着実に進めている。
結論
国立成育医療センター内に臨床研究を前提としたad hoc委員会を設立し、臨床試験研究への具体的なロードマップを作製し、医療に提供できる新たな間葉系細胞の分離・培養を行い、ヒト血清ならびにヒト液性因子のみからなる培養法の開発を終了した。また、ヒト間葉系幹細胞の分化能検定システムの開発ならびに分化形質発現システムを通じた情報収集を行い、国立成育医療センター研究所が有するGMP基準に沿った機関内の細胞プロセッシング・センターにおいて日本国内の研究施設より要請があった場合に高い安全性を有し、標準化された培養システムによって増殖する間葉系細胞を提供することを可能とした。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-