文献情報
文献番号
200400074A
報告書区分
総括
研究課題名
アレムツズマブを用いたHLA二座以上不一致血縁ドナーからの同種造血幹細胞移植療法の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
神田 善伸(東京大学医学部附属病院無菌治療部)
研究分担者(所属機関)
- 原田実根(九州大学大学院病態修復内科学)
- 大橋靖雄(東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻)
- 中尾眞二(金沢大学大学院医学系研究科細胞移植学血液内科学)
- 谷口修一(国家公務員共済組合連合会虎の門病院)
- 岡村純(国立病院九州がんセンター臨床研究部)
- 鈴木憲史(日本赤十字社医療センター血液内科)
- 森慎一郎(国立がんセンター中央病院特殊治療部)
- 千葉滋(東京大学医学部附属病院・無菌治療部)
- 小川誠司(東京大学医学部造血再生医療寄附講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
同種造血幹細胞移植の最大の合併症は移植片対宿主病(GVHD)である。特にHLAの不一致が存在する移植では致死的なGVHDの頻度が上昇する。本研究の目的は、リンパ球の細胞の表面に存在するCD52に対するモノクローナル抗体であるアレムツズマブを用いて拒絶とGVHDを予防することによって、HLA二座以上不一致の血縁ドナーからの同種造血幹細胞移植が可能になることを示すことである。また、アレムツズマブは本邦未承認薬であるため、本臨床試験は改正GCP基準に則って医師主導治験として行う。アレムツズマブを用いたHLA二座以上不一致血縁者間移植の安全性と有効性が証明された場合には、本試験で品質保証されたデータに基づいてアレムツズマムの移植前処置薬としての適応承認申請を行い、多くの国民に利益をもたらす。
研究方法
対象となる患者は、他に有効な治療法を持たない造血器疾患を有するものの、HLA一致または一座不一致の血縁・非血縁ドナーがいないがために、根治的な同種造血幹細胞移植を行うことができない16?65歳の患者であり、HLA二座以上不一致の血縁ドナーを有する患者である。移植前処置のアレムツズマブの投与量は0.20 mg/kg/dayから開始し、連続再評価法に従って逐次投与量を変更し、推奨用量を決定する。主要評価項目は移植後60日以内の生着不全およびグレードIII以上の急性GVHDの発症率とする。
結果と考察
東京大学医学部附属病院無菌治療部で同治療法のパイロット試験を行った。18症例に対してHLA二座以上不一致血縁者間移植を行い、グレードIII以上の急性GVHD発症頻度を1例のみに抑制することに成功した。そこで、本試験では改正GCP基準に則った医師主導治験として行うことにより、アレムツズマブの適応承認申請を行う。
平成16年に医師主導臨床試験の実行に関して、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構との治験相談を行い、その後、症例報告書の作成、データベースの構築、各施設の審査機関での試験の承認を経て、平成16年11月に治験届を提出し、平成17年1月に治験を開始した。
平成16年に医師主導臨床試験の実行に関して、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構との治験相談を行い、その後、症例報告書の作成、データベースの構築、各施設の審査機関での試験の承認を経て、平成16年11月に治験届を提出し、平成17年1月に治験を開始した。
結論
本試験の結果として、アレムツズマブを用いることによってHLA不一致同種造血幹細胞移植の安全性が高まることが示されれば、適切なドナーがいないために移植を受けることが出来ない多くの患者についても、同種造血幹細胞移植療法を適応することが可能となる。
公開日・更新日
公開日
2005-05-12
更新日
-