文献情報
文献番号
200400070A
報告書区分
総括
研究課題名
霊長類ES細胞の品質管理と同種移植の安全性確保に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
寺尾 恵治(国立感染症研究所筑波医学実験用霊長類センター)
研究分担者(所属機関)
- 仁藤 新治(田辺製薬先端医学研究所)
- 花園 豊(自治医科大学再生医療研究部)
- 久和 茂(東京大学大学院農学生命科学研究科)
- 山元 恵(国立環境研究所)
- 中村紳一郎(日本獣医畜産大学獣医病理学講座)
- 下澤 律浩(国立感染症研究所筑波医学実験用霊長類センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ヒトを対象とした安全で有効な再生医療技術を確立するために、ヒトに近縁な霊長類のES細胞を対象として、幹細胞の品質管理技術、分化制御技術、リスク評価技術等を先行して開発することを目的とする。
研究方法
カニクイザルES細胞株(CMK-6/G)および胚様体(EB)を回収し、1,050種の抗ヒトモノクローナル抗体をアレイとしたウエスタンブロットに供試した。また両者からmRNAを抽出し、Stemness marker遺伝子の発現を比較した。
カニクイザルES細胞から効率的に神経幹細胞(ニューロフィラメント陽性、チロシン水酸化酵素陽性)に分化させる培養法を検討した。
未分化ES細胞および分化誘導細胞の体内微小環境を利用した分化能、分化効率、組織分布、テラトーマ形成能などを評価する目的で、妊娠初期(胎齢90日以内)のカニクイザル胎児にエコーガイド下で107?105/頭の細胞を肝臓内に移植した。
カニクイザルES細胞から効率的に神経幹細胞(ニューロフィラメント陽性、チロシン水酸化酵素陽性)に分化させる培養法を検討した。
未分化ES細胞および分化誘導細胞の体内微小環境を利用した分化能、分化効率、組織分布、テラトーマ形成能などを評価する目的で、妊娠初期(胎齢90日以内)のカニクイザル胎児にエコーガイド下で107?105/頭の細胞を肝臓内に移植した。
結果と考察
神経系細胞への分化誘導技術はほぼ確立し、NeuronやAstrocyteへの選択的な分化誘導も可能にしつつある。血液系細胞への分化はCD34およびCD31陰性でコロニー形成能のない初期中胚葉細胞への誘導技術は開発できたが、分化細胞の比率は低く、造血前駆細胞への分化は不安定であった。さらに本法で分化誘導した細胞には未分化マーカーであるSSEA-4陽性細胞が比較的高率(30?40%)に含まれていることが判明した。
未分化ES細胞に高発現しているタンパクを同定した。現在ESおよびEB細胞で特異的に発現しているタンパクプロファイルを作成中である。分化誘導した初期中胚葉細胞をサル胎仔に移植した結果、全例にテラトーマの形成を認めた。一方、SSEA-4陰性細胞を胎児に移植した場合にはテラトーマの発生は認められなかった。
未分化ES細胞に高発現しているタンパクを同定した。現在ESおよびEB細胞で特異的に発現しているタンパクプロファイルを作成中である。分化誘導した初期中胚葉細胞をサル胎仔に移植した結果、全例にテラトーマの形成を認めた。一方、SSEA-4陰性細胞を胎児に移植した場合にはテラトーマの発生は認められなかった。
結論
人と近縁なサルのES細胞を用いて、再生医療技術開発に資する基礎的検討をおこなって以下の成果を得た。
1. 霊長類ES細胞に高発現しているタンパクを同定した。
2. 神経細胞への分化誘導法を確立した。
3. テラトーマ形成リスクの軽減法を確立した。
1. 霊長類ES細胞に高発現しているタンパクを同定した。
2. 神経細胞への分化誘導法を確立した。
3. テラトーマ形成リスクの軽減法を確立した。
公開日・更新日
公開日
2005-05-12
更新日
-