文献情報
文献番号
200400069A
報告書区分
総括
研究課題名
組織工学的手法を用いた気道再生の基礎的・臨床的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
大森 孝一(福島県立医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座)
研究分担者(所属機関)
- 挾間 章博(福島県立医科大学医学部生理学第一講座)
- 中村 達雄(京都大学再生医科学研究所)
- 金丸 眞一(京都大学医学部耳鼻咽喉科)
- 小川 洋(福島県立医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座)
- 桑畑 直史(福島県立医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座)
- 松塚 崇(福島県立医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座)
- 多田 靖宏(福島県立医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は気道の臓器の機能的再生をはかり、気道病変切除後の呼吸、嚥下、発声、構音の機能障害を回避し、Quality of Lifeの向上を実現することにある。
研究方法
(基礎的研究)①自己組織再生型人工気管の開発と動物実験での移植:ポリプロピレンメッシュを円筒状にし、ポリプロピレンを外側に巻き付けたチューブを作製し、コラーゲンスポンジを付加させる。この複合チューブの耐圧縮強度を測定する。犬の気管軟骨輪を切除後に人工気管を移植する。②気道組織の効果的再生:ラット気管を摘出し気管上皮細胞を採取・培養し、コラーゲンスポンジ上に気管上皮細胞層を作製。人工材料上の培養細胞について免疫組織学的に評価する。コラーゲンスポンジ上にGFPラット気管上皮細胞で被覆したハイブリット材料を作製し、これをラット気管欠損モデルに移植する。移植術後の創傷治癒過程について免疫組織学的に評価する。
(臨床的研究)①における基礎的研究の成果を基盤とし、倫理委員会の承認のもと喉頭・気管の再生治療を臨床応用する。癌および気道狭窄における気道切除後の欠損に対して、開発した人工材料を移植し、問題点を明らかにする。
(臨床的研究)①における基礎的研究の成果を基盤とし、倫理委員会の承認のもと喉頭・気管の再生治療を臨床応用する。癌および気道狭窄における気道切除後の欠損に対して、開発した人工材料を移植し、問題点を明らかにする。
結果と考察
(基礎的研究)①ポリプロピレンメッシュとコラーゲンスポンジの複合人工気管は正常気管と同程度の強度を保っていた。犬の気管欠損部への移植では最長5年の観察で内腔に線毛上皮の再生を確認した。本材料の有用性と安全性を確認し、臨床応用への基礎データを提供した。②人工材料上の培養気管上皮細胞層は正常の気管粘膜上皮細胞に特徴的な細胞骨格や物質輸送能が保たれていることを確認した。ラット気管欠損モデルにハイブリット材料を移植した結果、上皮化と移植気管上皮細胞の生着を認めた。移植したコラーゲンスポンジは粘膜下層の再生の足場となっており、効果的再生に有用であった。今後、さらにこれらの手法の実用化を目指した研究が必要である。
(臨床的研究)世界に先駆けて喉頭・気管の再生治療を現在まで4例行い、最長2年1ヶ月の観察で全例上皮化が確認され機能障害無く社会復帰が可能であった。しかしながら上皮化には約2ヶ月を要し、今後解決すべき課題である。
(臨床的研究)世界に先駆けて喉頭・気管の再生治療を現在まで4例行い、最長2年1ヶ月の観察で全例上皮化が確認され機能障害無く社会復帰が可能であった。しかしながら上皮化には約2ヶ月を要し、今後解決すべき課題である。
結論
本研究により、気道の再生治療が十分期待を持てることを明らかにした。今後は、トランスレーショナルリサーチにより、本再生治療をさらに効率的な組織再生が可能なレベルに高める。
公開日・更新日
公開日
2005-05-12
更新日
-