個人情報の医学・生物学研究利用を支える法的・倫理的・社会的基盤について

文献情報

文献番号
200400066A
報告書区分
総括
研究課題名
個人情報の医学・生物学研究利用を支える法的・倫理的・社会的基盤について
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
宇都木 伸(東海大学専門職大学院 実務法学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 大島 明(大阪府立成人病センター 調査部)
  • 奥本 武城(三菱ウェルファイド株式会社 創薬企画部)
  • 河原 ノリエ(フリージャーナリスト)
  • 佐藤 雄一郎(横浜市立大学 医学部)
  • 菅野 純夫(東京大学 大学院新領域創成科学研究科メディカルゲノム専攻・ゲノム制御医科学分野)
  • 恒松 由記子(国立成育医療センター 特殊診療部小児腫瘍科・血液科)
  • 増井 徹(国立医薬品食品衛生研究所 変異遺伝部、第3室(細胞バンク))
  • 松村 外志張((株)ローマン工業 細胞工学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 個人情報の生物医学研究への利用のために、わが国において確立されるべき法的・倫理的・社会的基盤を明らかにすることを最終目標として、2004年度は、いまわれわれの置かれている状況を認識し、問題点を確認することを目的とした。
研究方法
 2004年度は、諸般の事情から班としての実地調査などが困難であったので、分担研究者それぞの立場から実状の調査あるいは対照とされるべき外国事情の調査にあたり、その結果を班員全員の研究会で検討をするという形を取った。
結果と考察
 ①医療情報をめぐる現在の法・制度的環境は、旧来の業務論的診療情報管理体制と一般的個人情報保護体制との、原理的にも統一のとれないつぎはぎ細工の体制でしかない。②私的医療機関への大幅依存と、出来高払いという保険診療体制を特色とするわが国においては、診療情報についてはまず「適正な収集・管理」体制の確立という課題から組み立てなくてはならないようである。③ゲノム(解析)という新種情報の特殊性をも組み入れた医療情報の特色を、その利用状況を視野に入れつつ、整理し直すことが必要である。④これまでの医療情報の利用状況を拙速に正当化するのでなく正面から問い直して、国民の理解を得られるしっかりとしたインフラの整備と管理体制を、法的に整える必要がある。⑤法規制と研究活動の間の軋轢を適正に解決する努力を通して、新しい体制をつくって行くべきものであり、ただ回避していては将来はない。⑥外国の例に習うことの必要性とともに、わが国の歴史的・文化的特殊性をよく加味した解決方法が求められる。
結論
 個人情報保護法の施行に合わせた諸倫理指針の策定や改訂の作業は暫定的性格を免れない。今後のわが国の生物医学研究の健全な発展のためなされるべきことは多く且つ深いようである。
 1.医療情報の中心にある診療情報を、質の高い、共有価値の高いものするためには、現行の診療体制自体をも含めた大きな変化を必要とするようである。
 2.診療情報の研究利用について正面から国民の理解を求め、情報の性格に合わせたしっかりした法的枠組みと管理体制を確立すべきである。
 3.潜伏しがちな法規制と研究活動の軋轢については、外国の事例に学びつつ、わが国の歴史的、文化的背景に即した解決方法を探るべきである。

公開日・更新日

公開日
2005-04-27
更新日
-