文献情報
文献番号
200400064A
報告書区分
総括
研究課題名
次世代アデノウイルスベクターの開発基盤研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
水口 裕之(国立医薬品食品衛生研究所大阪支所 基盤研究第三プロジェクトチーム)
研究分担者(所属機関)
- 中川 晋作(大阪大学大学院薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
42,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、わが国における遺伝子治療の実用化と一層の進展に向けて、安全性が高く、機能面で優れた次世代遺伝子治療用ベクターの開発、及び関連する遺伝子導入・発現制御技術に関する基盤研究を行うことを目的とした。
研究方法
既存のベクターでは最も遺伝子導入効率が良いとされるアデノウイルス(Ad)ベクターの長所(高効率、高タイターのベクター調製が可能等)を生かしつつ、1)標的細胞指向性の制御、2)免疫反応の回避、3)目的遺伝子の発現抑制、4)異なった血清型に属する35型Adを基盤とした全く新規なベクターの開発、および5)これらを統合したAdベクターの開発を行い、遺伝子治療の対象疾病や標的細胞に適した遺伝子導入・発現制御技術の開発、さらにそれらの技術を利用した応用研究を行った。
結果と考察
1)ウイルス表面タンパク質の改変により標的細胞選択性を制御し、従来遺伝子導入が困難であった細胞等への適用も可能なAdベクターの有用性を間葉系幹細胞、ES細胞等への遺伝子導入実験や癌遺伝子治療応用研究で実証した。また、ファージ表面提示法を利用した標的リガンド同定法の開発に着手すると共に、ターゲティングAdベクターのための基盤ベクターの開発に成功した。改変ファイバーを有した発現制御型Adベクター開発に成功した。このようなベクターは、治療の対象となる疾患に応じて適時適切な部位での目的遺伝子の発現を可能とするシステムであり、遺伝子治療薬として有用性が極めて高い。2)水溶性高分子(PEG)によるバイオコンジュゲート化Adベクターの開発を行い、血中滞留性の向上、抗体回避能を付与できることを実証した。また、標的リガンドをPEGの末端に導入したPEGバイオコンジュゲート化Adベクターの作製方法を確立した。3)薬剤により目的遺伝子の発現を負に制御できる遺伝子発現抑制型Adベクターの開発に成功し、新しいアプローチによる遺伝子治療への適用が期待された。4)35型Adベクターの特性をCD46発現トランスジェニックマウスで検討すると共に、本ベクターによる造血幹細胞への遺伝子導入の最適化を行った。以上のような基盤技術が我が国独自に開発されたことは、その技術の汎用性と応用面での広がりを考えると大きな意義を持つと予想される。
結論
次世代Adベクターの開発研究を進め、我が国独自の独創的で安全性の高い次世代遺伝子治療薬の基盤技術の確立に向けた十分な成果を得た。
公開日・更新日
公開日
2005-04-27
更新日
-