サル等を用いたウイルスベクターの安全性・有効性の評価に関する研究

文献情報

文献番号
200400063A
報告書区分
総括
研究課題名
サル等を用いたウイルスベクターの安全性・有効性の評価に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
倉田 毅(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 神田 忠仁(国立感染症研究所)
  • 俣野 哲朗(東京大学大学院医学系研究科)
  • 西山 幸廣(名古屋大学医学部付属研究施設)
  • 近藤 一博(東京慈恵会医科大学医学部)
  • 北村 義浩(東京大学医科学研究所)
  • 佐多 徹太郎(国立感染症研究所)
  • 寺尾 恵治(国立感染症研究所筑波医学実験用霊長類センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
42,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ウイルスベクターを患者に直接注入する遺伝子治療では、ベクター粒子に対する免疫応答とベクターの体内動態、消長が安全性評価の基盤となる。これらの性質は各ウイルスベクター固有のもので、モデルベクターを使って解析できる。筋肉接種されるアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターと経鼻接種されるセンダイウイルス(SeV)ベクターをサルに接種して安全性評価に必要な情報を得る。また、ヒトヘルペスウイルス(HHV)6、7型ベクターや単純ヘルペスウイルス(HSV)ベクターの開発も行う。
研究方法
AAV2、10、11型ベクターを3頭のカニクイザルに全身投与し、90日目に解剖した。臓器中のベクターDNAを調べ、固定標本を病理学的に検討した。アカゲザルにSeVベクターを繰り返し投与し、末梢血中に誘導される特異的なCTLレベルを調べた。再発性頭頸部癌患者2名の皮下の腫瘍内に、HSV弱毒株HF10を3日連続接種する第I/II相臨床試験を行った。HHV6、7ベクターを末梢血中リンパ球に感染させ、感受性細胞種を同定した。
結果と考察
AAVベクターは90日経過後も多量に体内に残っていた。各AAVベクターは脾臓、リンパ節、扁桃に検出された。肝臓では2、10型ベクターのみが検出された。臓器に異常な病理所見は無かった。AAVS1内のインシュレーターに結合する細胞蛋白質が存在していた。SeVベクター経鼻接種後、153、160、190週目に再度ベクターを経鼻接種すると、初回接種と同程度のCTL誘導が起こった。接種後7週目では、経鼻接種でCTLレベルが上昇したものの、筋肉接種ではCTLの誘導効率は低かった。HF10の臨床試験では重篤な副作用は無く、一定の治療効果が示された。HHV-6はCD4(+)T細胞とナチュラルキラー(NK)細胞に、HHV-7は、CD4(+)T細胞とマクロファージに遺伝子導入した。
結論
全身投与されたAAVベクターは、体内に長く留まる。AAV10、11型は2型と抗原性、臓器親和性が異なり、新たな遺伝子治療ベクターの素材となる。SeVベクターの複数回経鼻接種は特異的CTL誘導・維持に有効であり、安全上の問題は見つからなかった。再発性乳癌や頭頸部癌に対してHF10を接種する方法は、患者の負担を避けながらQOLを改善する効果がある。HHV-6やHHV-7ベクターは、NK細胞やマクロファージに効率的に遺伝子導入できる。

公開日・更新日

公開日
2005-04-27
更新日
-