臨床応用のためのlong-acting HVJ-E(ヒト型)の開発

文献情報

文献番号
200400062A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床応用のためのlong-acting HVJ-E(ヒト型)の開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
金田 安史(大阪大学医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 田畑 泰彦(京都大学再生医科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
45,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
申請者の金田によって開発され現在臨床応用用の生産が進められている非ウイルスベクターであるHVJ envelope vector(HVJ-E)の血液中での安定性を増強させ、かつ標的細胞へのターゲティング能を賦与し、生体組織での遺伝子導入効率を飛躍的に高め、さらに多くの疾患治療への応用を実現する。
研究方法
1)血液中での安定性増強のために各種ポリマーによる修飾を行いHVJ-Eの体内動態を解析する。特にポリエチレングリコール修飾によるステルス化、ゼラチン誘導体を用いた徐放化を進める。
2)標的細胞に特異的に認識される分子を有する標的導入HVJ-Eの開発を行い非標的細胞による捕捉防止する。そのため、一部の融合蛋白に特異的なリガンド分子を挿入したキメラ蛋白をもつベクター作成や脂質を利用した標的分子の挿入などを試みる。
3)以上の研究成果の統合により、long-actingヒト型HVJ-Eを開発し、様々な生体組織での遺伝子導入効率を増強させ、また安全性の検討も行い、さらに多くの疾患治療への有効利用を実現する。
結果と考察
1)標的導入をめざし融合蛋白Fと標的分子のキメラ蛋白を遺伝子工学的に作成し、これがHVJのウイルス粒子膜に組み込まれる条件を決定し、キメラ蛋白を産生されるウイルスの膜上にとりこませることが可能になった。この方法によりF1変異体と腫瘍を認識する一本鎖抗体のキメラ蛋白を作成すれば腫瘍集積性の高いHVJ-Eの作成が可能となろう。
2)カチオン化ポリマーとHVJ-Eの複合体形成を行ったところ,低分子量のカチオン化ゼラチンにより血液中での安定性が飛躍的に増強し、遺伝子導入効率が数十倍増強され、マウス尾静脈内投与で肝臓への標的導入が可能になった。この技術は血液中で不安定なレトロウイルスベクターやレンチウイルスベクターにも適用可能である。
3)HVJ-E の徐放化をめざしてカチオン化ゼラチンハイドロゲル中にHVJ-Eを包埋し徐放化による遺伝子導入の持続が培養細胞では可能になった。今後は生体組織中での徐放化を行う。
結論
HVJ-Eベクターの短所である血液中での不安定性を解消し、目的臓器への効率のよい標的化を可能にするため、標的分子を持つHVJ-Eベクターの開発、ポリマー修飾による血液中での安定性の増強と標的化、カチオン化ゼラチンハイドロゲルを用いたHVJ-Eの徐放化による遺伝子導入の持続に成功した。

公開日・更新日

公開日
2005-04-27
更新日
-