高齢者特発性造血障害の大規模ゲノミクス解析による病態解明

文献情報

文献番号
200400057A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者特発性造血障害の大規模ゲノミクス解析による病態解明
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
間野 博行(自治医科大学医学部ゲノム機能研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 寺村 正尚(東京女子医科大学血液内科)
  • 湯尾 明(国立国際医療センター研究所血液疾患研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
47,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
特発性造血障害は、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群(MDS)、発作性夜間血色素尿症(PNH)の3疾患群からなり、本邦における高齢者の最も主要な血液疾患となっている。我々は本研究計画において造血幹細胞バンク「Blast Bank」を設立し、骨髄異形成症候群の(1)分子診断、(2)発症機構の解明、(3)薬剤耐性獲得機構の解析、及び(4)新たなアプローチによる治療法の開発を目指す。
研究方法
(1)造血幹細胞特異的マーカーであるAC133に対するアフィニティカラムを用いて、白血病を含む各種特発性血液疾患患者骨髄より造血幹細胞分画を純化保存し、これをBlast Bankと名付けた。(2)上記検体群を用いて以下のようにDNAチップ解析を行った。細胞よりトータルRNAを抽出し二本鎖cDNAを合成し、ビオチン標識化したcomplementary RNA(cRNA)を作製した。このビオチン化cRNAをDNAチップとハイブリダイズさせた。(3)MDS患者および正常人の末梢血よりデキストラン法を用いて好中球を分離した。その細胞より蛋白質を抽出した後,二次元電気泳動を行った。(4)HL-60、U937,WEHI3BD+細胞等の培養上清にビタミンDやPMAの添加、もしくはp21の強制発現を行い、細胞の分化を誘導した。
結果と考察
(1)Blast Bankを用いた大規模DNAチップ解析を行い、骨髄異形成症候群において病期の進展に伴って発現が変化する遺伝子セットを同定した。さらに進行期に発現が低下する遺伝子PIASyはがん抑制遺伝子としての機能があることを明らかにした。(2)MDS患者と正常者の末梢血好中球由来の蛋白の泳動パターンを解析ソフトで解析したところ,MDSにおいて明らかに高発現しているスポットが認められた。それらのスポットについてMSによるペプチドマップを作製し,データベース上でペプチドマス・フィンガープリント測定を行い,蛋白質を数種同定した。
結論
本研究事業において骨髄異形成症候群の大規模な純化細胞DNAチップ解析を行い、膨大な遺伝子発現データを得た。これらを元に「発現量から統計的有意に診断」を可能にする遺伝子群の抽出に成功し、カスタムDNAチップによる診断法の可能性を示した。またプレテオミクス技術からMDS細胞を解析する事により蛋白質レベルでのMDSの異常を同定した。

公開日・更新日

公開日
2005-04-27
更新日
-