カルパイン10関連分子を用いた2型糖尿病遺伝子診断法と新規治療法の開発

文献情報

文献番号
200400054A
報告書区分
総括
研究課題名
カルパイン10関連分子を用いた2型糖尿病遺伝子診断法と新規治療法の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
堀川 幸男(群馬大学生体調節研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 夏目 徹(独立行政法人 産業技術総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
36,550,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
申請者は、世界で初めて2型糖尿病遺伝子(NIDDM1)を発見することに成功した。カルパイン10関連分子の大量マーカーを獲得し、蛋白レベルで証明されている相互作用を遺伝子レベルに還元し糖尿病感受性診断ツールを開発することにより、糖尿病病態におけるマルティプルヒット理論を実証し、複数の疾患感受性ハプロタイプをパネル化して、実際に診断キットを開発し実用化することが可能となる。
研究方法
カルパイン10(NIDDM1)を微量サンプル用マイクロ流路を備えたナノスケール質量分析器に供することにより、ID3424などの有力候補関連分子を獲得している。ID3424はプロテアーゼの一種でありその異常はマウスで2型糖尿病を発症させることが報告されている。申請者は既に種々の「カルパイン10異常型動物」を作成している。これらの動物について得られた「カルパイン10関連遺伝子」と表現型の関連、および環境因子に対する応答性を検討する。カルパイン異常型動物で観察された表現型を中心に、マイクロアレイで獲得した遺伝子マーカーとの関連解析も行う。
結果と考察
カルパイン10過剰発現マウス単離膵島では初期にはインスリン分泌が亢進しており体重増加過多を呈した。またカルパイン10とID3424を脂肪細胞株に共発現させ局在を決定し、糖輸送体であるGLUT4と共局在していることを明らかにした。またカルパイン10とID3424の結合領域を明らかにした。そしてIDEの部分領域(デコイ)を培養細胞系に発現させ、GLUT4膜移動が消失することも明らかにした。現在カルパイン10或いはID3424が糖尿病治療に有効である可能性を考えアデノウィルス系を用いて、種々の糖尿病モデル動物に過剰発現させ、カルパイン10とID3424の制御関係、治療効果並びに周辺分子の網羅を進めている。
結論
カルパイン10はインスリン分泌、作用両方に関与している事が細胞・個体レベルで実証された。ID3424 などのカルパイン10相互関連分子はその発現レベルの調節により新規分子標的になる可能性も示された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-27
更新日
-