文献情報
文献番号
200400051A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者疾患の共通のリスクファクター・肥満を抑えるための新戦略
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
鍋島 陽一(京都大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 藤森 俊彦(京都大学大学院医学研究科)
- 伊藤 慎二(京都大学大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
28,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究はbeta-Klothoの発見とそのノックアウトマウスの解析を基盤として、動脈硬化、高血圧、糖尿病などの加齢に伴って発症する疾患の最大のリスクファクターである肥満におけるコレステロール代謝の関与を解明し、加齢に伴う肥満を抑え、ひいては加齢疾患の発症予防、老化遅延、健康老化の実現を目指すものである
研究方法
上記の目的を達成するために(1)肝臓、血液、消化管、胆嚢などのコレステロール、胆汁酸および、その代謝産物を測定した。ついで、肝臓、小腸よりRNAを調製し、コレステロール代謝に関連する代謝酵素(P450遺伝子群)、トランスポーター、チャンネル、転写因子の発現について、詳細な検討を行った。(2)抗beta-Klotho蛋白モノクローナル抗体を分離し、免疫沈降、質量分析により結合分子を解析した。(3) beta-Klothoの機能を抑える低分子化合物の探索システムの開発を目指してin vitro解析系の樹立を試みた。(4) ヒトbeta-Klotho遺伝子多型と加齢疾患の発症頻度、beta-Klothoノックアウトマウスにおいて老化遅延、寿命延長が起こるかについて研究を行った。
結果と考察
beta-Klotho遺伝子ノックアウトマウスではコレステロール、胆汁酸の腸肝循環を担う分子群には異常がなく、Cyp7A1とCyp8B1を共通に負に制御する転写因子、SHPの発現、活性制御に異常があり、絶えずCyp7A1、及びCyp8 B1遺伝子の発現が亢進していることを突き止めた。極めて効率よくb- Klotho蛋白を免疫沈降するモノクローナル抗体を作成し、beta-Klotho蛋白に結合する蛋白の候補者を同定した。beta-Klotho蛋白の機能を解析するための初代培養肝細胞系を用いたin vitroアッセイシステムの構築を進めた。ヒトbeta-Klotho遺伝子多型についての情報を収集し、共同研究の準備を進めている。2年以上、変位マウスを飼育しているが死亡例がなく早期死亡は否定された。
結論
beta-KlothoはCyp7A1とCyp8B1を共通に負に制御する転写因子、Small heterodimer partner (SHP)の発現、活性を制御するシグナル伝達経路で機能していること推定され、ノックアウトでは負の制御が起こらないために絶えずCyp7A1、及びCyp8 B1遺伝子の発現が亢進していることを突き止めた。、コレステロール代謝改善剤の新たなターゲットとしてbeta-Klothoシステムが想定され、特許出願した。
公開日・更新日
公開日
2005-04-27
更新日
-