遺伝子組み換え薬用植物の環境に与える影響に関する研究

文献情報

文献番号
200400046A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝子組み換え薬用植物の環境に与える影響に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
木内 文之(国立医薬品食品衛生研究所筑波薬用植物栽培試験場)
研究分担者(所属機関)
  • 関田 節子(徳島文理大学香川薬学部)
  • 飯田 修(国立医薬品食品衛生研究所筑波薬用植物栽培試験場)
  • 吉松 嘉代(国立医薬品食品衛生研究所筑波薬用植物栽培試験場)
  • 渕野 裕之(国立医薬品食品衛生研究所筑波薬用植物栽培試験場)
  • 柴田 敏郎(国立医薬品食品衛生研究所北海道薬用植物栽培試験場)
  • 香月 茂樹(国立医薬品食品衛生研究所種子島薬用植物栽培試験場)
  • 佐竹 元吉(お茶の水女子大学生活環境センター)
  • 大塚 譲(お茶の水女子大学生活環境センター)
  • 酒井 英二(岐阜薬科大学)
  • 水上 元(名古屋市立大学薬学部)
  • 鎌田 博(筑波大学遺伝子実験センター)
  • 野口 博司(静岡県立大学薬学部)
  • 神田 博史(広島大学医学部)
  • 佐藤 文彦(京都大学大学院生命科学研究科)
  • 正山 征洋(九州大学大学院薬学研究院)
  • 鈴木 幸子(東京都健康安全研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
45,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
遺伝子組換え薬用植物を作出して遺伝子組換えが薬用植物の成分全体にどのように影響するかを評価するとともに、遺伝子組換え薬用植物を野外で栽培する場合にどのような項目について環境影響評価を実施することが適切であるかを検討し、遺伝子組換え薬用植物によって影響を受けると思われる国内自生薬用植物の生育・栽培並びに増殖特性を調査して、遺伝子組換え薬用植物の環境への影響を最小限にするための研究の基礎資料を作る。
研究方法
遺伝子組換え薬用植物のモデルとして、自然界でも生じる遺伝子組換えである毛根病菌による遺伝子組換え体をベラドンナについて作成した。また、レポーター遺伝子のセリバオウレンへの組込み条件並びに作出した組換え体の超低温保存条件を検討した。更にニチニチソウの配糖化酵素をシロイヌナズナに組込み、形質転換細胞における成分代謝能の変化を分析した。シコタンタンポポ等の遺伝的多様性を調べるとともに、ベラドンナ等について非遺伝子組換え植物の生態特性、花粉飛散性、交雑特性、遺伝子多様性等を調べた。また、雌雄異株である栽培マオウを用いてRAPDマーカーを用いた交雑性の検討を行った。更にウイキョウ、オオツヅラフジ等について栽培試験を行った。
結果と考察
日本産の毛根病菌によってベラドンナを形質転換し、再分化した植物体を得た。次年度はこのベラドンナ形質転換体を用い、特定網室栽培等を実施する。毛根病菌の感染条件を詳細に検討することにより、高い形質転換効率で組換えセリバオウレンの作出と超低温保存に成功した。ニチニチソウの配糖化酵素を導入したシロイヌナズナではマロニル化されたクルクミン配糖体が生成し、異種植物の遺伝子の導入により構造的に新しい化合物が生成する可能性を示した。野生タンポポのPCR-RFLP分析では3種類のバンドパターンが観察され、外来種起源のゲノムを持っている可能性が高いと考えられた。RAPDマーカーによるDNAタイピングを用いることにより、マオウの交雑性の検定や交雑を防ぐのに必要な隔離距離の評価が可能となった。ベラドンナの花粉の寿命を決定する方法を確立し、花粉媒介昆虫を同定した。ウイキョウ、オオツヅラフジ等について試験栽培並びに特性調査等の結果をまとめて栽培指針を作成した。
結論
遺伝子組換え薬用植物に関する様々な項目を検討し、環境影響評価に関する基礎的な成果をあげた。次年度はさらに具体的な項目について検討する。

公開日・更新日

公開日
2005-04-27
更新日
-