プリオン蛋白及びその関連遺伝子の構造・機能に基づく治療法の開発

文献情報

文献番号
200400045A
報告書区分
総括
研究課題名
プリオン蛋白及びその関連遺伝子の構造・機能に基づく治療法の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
片峰 茂(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 堂浦 克美(東北大学大学院医学系研究科)
  • 堀内 基広(北海道大学大学院獣医学研究科)
  • 桑田 一夫(岐阜大学医学部医学科)
  • 調 漸(長崎大学医学部歯学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
47,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
プリオン蛋白質及び関連遺伝子の構造・機能を解明し、診断治療法の開発に資するため、以下の3課題を具体的達成目標とした。
(1)PrPの構造に係るバイオ・インフォーマテイクスに基づく新規抗プリオン物質の探索
(2)プリオン増殖に関る宿主因子の同定
(3)遺伝子改変マウスを用いたPrP, PrPLP/Dplの機能とプリオン増殖機構の解明
研究方法
組換えプリオン蛋白を用い,高圧NMR法により,各アミノ酸残基の熱安定性を解析した。この熱安定性の低い部位に選択的に結合する低分子化合物を,In Silico スクリーニングにより探索し、化合物の抗プリオン活性の培養細胞モデルによる評価を開始した。
RNA干渉による遺伝子発現抑制スクリーニング法を用いて候補因子の探索を行った。細胞膜分子を標的にしたsiRNAのうちプリオン感染マウス細胞株で異常型プリオン蛋白の発現抑制あるいは増強効果のあるものを選別した。他方、プリオン感受性の差に基づきプリオン複製に関与する因子を同定するため、プリオン感受性細胞と非感受性細胞の遺伝子発現をDNAマイクロアレイ法により比較解析した。
結果と考察
 著明な構造的揺らぎを示す残基群が,プリオン蛋白質B及びCへリックスに存在することが判った。In Silicoスクリーニングで見出した不安定な残基に囲まれた部分に選択的に結合する薬剤の抗プリオン活性をプリオン感染培養細胞モデルにより評価することにより有望薬剤候補を得つつある。
 RNA干渉法により、異常型プリオン蛋白の発現を抑制する7個の遺伝子と、亢進する1個の遺伝子を確認した。細胞クローン間のプリオン感染感受性の差に基づくDNAマイクロアレイ法により、プリオン感受性細胞で発現レベルが上昇している遺伝子が40個、非感受性細胞で上昇している遺伝子が117個にまで絞り込んだ。
結論
 In Silicoスクリーニングにより培養細胞モデルで抗プリオン効果を示す新規薬剤候補化合物を見出せるめどがたった。今後、マウス個体モデル系さらには臨床研究を通して新規薬剤としての有用性を確定したい。
プリオン増殖制御能を有する可能性のある遺伝子のプリオン増殖制御能を複数得た。プリオン感染細胞への選択的遺伝子導入、ノックアウト法を併用して確定する。

公開日・更新日

公開日
2005-05-02
更新日
-