抗血小板薬の反応性に関連する遺伝子の同定

文献情報

文献番号
200400040A
報告書区分
総括
研究課題名
抗血小板薬の反応性に関連する遺伝子の同定
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
池田 康夫(慶応義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 村田 満(慶應義塾大学 医学部)
  • 猪子 英俊(東海大学医学部)
  • 鈴木 則宏(慶應義塾大学 医学部)
  • 棚橋 紀夫(慶應義塾大学医学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
42,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アスピリンやチクロピジンなどの抗血小板薬は虚血性脳血管障害や冠状動脈疾患に対して世界中で非常に多くの患者に投与されている。しかしアスピリンを投与しても血小板機能が充分に抑制されない、いわゆる「アスピリン不応症」なる状態が健常者のなかに少なからず認められることが近年判明している。本研究は、抗血小板薬の効果の個体差の原因となる遺伝子を同定することを目的としている。今年度は血小板受容体/シグナル分子の機能解析、血小板機能と関連する個人個人のmRNA発現プロファイリング方法、抗血小板薬不応を最適に評価する為のin vitroでの血小板機能検査方法の開発、さらに多型マイクロサテライトマーカーを利用してゲノムワイドなマッピングの基礎技術を完成させることを目的とした。
研究方法
具体的には(1) マウスES細胞を用いた血小板機能解析、(2) hTERTのプロモーター領域約1.6kbの全遺伝子配列の解読、(3)新規dual specificity phosphatase (DSP)の同定、(4) 抗血小板薬不応の評価法の最適化、(5) 血小板のtranscriptome解析、(6) 血小板VWF受容体GPIb多型と血小板機能の関連、(7) 脳梗塞患者の臨床像の解析、(8) LOX-1遺伝子多型解析、(9) 全ゲノム解析のための多型マイクロサテライトの抽出アルゴリズムの改良を行った。
結果と考察
ゲノムワイドに収集した約30,000個の多型マイクロサテライトについて高密度にサンプルを搭載したMSチップ作成のため、MALDI-TOFMS用サンプルを微小スポットに搭載するためのスポッティング条件を検討した。1,000スポット/cm画密度をもつチップの作製に成功した。この高密度MSチップ(微小スポット)におけるイオン化条件の検討を行っており、一部条件下において分子量の測定が可能となった。
結論
対象者からの検体と臨床情報の蒐集、血小板機能評価、血小板発現遺伝子プロファイリング、全ゲノムスキャンの基礎検討を主な目的とした。抗血小板薬服用者のex vivo血小板機能評価法、健常人血液にin vitroで抗血小板薬を添加した際の血小板機能評価法を確立した。対象者のDNAを抽出するとともにwhole genome解析の予備検討を行った。抗血小板薬反応性(凝集能など定量的値)を指標にしたQTLマッピングのための、3万個のマイクロサテライトを用いたゲノムワイドな相関解析の準備が整った。RNA発現プロファイリングについても、血小板での実験の至適条件が見いだされた。

公開日・更新日

公開日
2005-07-27
更新日
-