助産師確保対策に関する調査研究

文献情報

文献番号
200401403A
報告書区分
総括
研究課題名
助産師確保対策に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 尚美(神奈川県立保健福祉大学)
研究分担者(所属機関)
  • 堀内成子(聖路加看護大学)
  • 高橋克幸(独立法人国立病院機構仙台医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の出生数は,年間115万人前後で推移しており,その出産場所は53.3%が病院で46.5%は診療所である.就業している助産師数は平成14年で25.877人であるが、その就業先は病院に68.7%、診療所に17.2%である.これらの状況から見て診療所での出産に助産師が関わっていないであろう事が推測される.そこで,助産師が複数就業し出産を取り扱っている診療所の現況を把握し,診療所の助産師就業確保のための体制整備モデル案および就業推進のためにリーフレット等を作成し診療所,助産師養成施設,ナースバンク等に配布し啓発活動を行うことを目的とした.
研究方法
①助産師が複数就業している診療所(全国34箇所)を抽出し、郵送によるアンケート調査を実施した。
②助産師が複数就業している診療所の現状把握として、全国7箇所を抽出し、訪問インタビュー調査を行った。
③地域の産婦人科医師の協力を求め意見交換を行った。
結果と考察
 診療所アンケート調査は21診療より回答を得た.診療所の年間分娩数は,平均521.1件で最小値は100件,最大値は1016件であった.助産師採用で有効であった方法は「知り合いの助産師に紹介を依頼」であった.診療所で働くことによる助産師のメリットは,「妊産婦とより積極的に関れる」「より自然なお産に関れる」「助産師としてのスキルを磨ける」「出産により主体的に関れる」であった.全国7箇所の診療所のインタビューの結果,共通点は医師と助産師の関係性がよい事,助産師の自律を支援した業務ができている等である.医師と助産師が母子への支援に対する理念に共感できることが重要である.また,医師の力量は,助産師の採用,出産の安全,快適性を確保するための重要な要因である。
結論
 
 今回の調査対象の診療所は,医療の介入を最小限にし,フリースタイルの出産を実現し利用者のニーズに応え分娩件数も多く,複数の助産師が働き,助産師にとっても魅力的な職場であった.助産師が正常に経過する妊産婦管理をすることにより,医師はハイリスクに集中でき業務が効率化している.診療所の助産師確保のためには,人材バンク等への登録システムや,派遣制度ならびに開業助産師との連携によるフレックスタイムでの相互支援体制作りが望まれる.また,診療所においても積極的に情報提供を行い,賛同する助産師を募ることも重要である.
本調査をふまえ,診療所への助産師確保推進のためのリーフレットを作成したものを配布し,広報を行う.

公開日・更新日

公開日
2005-05-16
更新日
-