痘そうワクチンの備蓄戦略の為の品質向上、生産性向上に関する研究

文献情報

文献番号
200401400A
報告書区分
総括
研究課題名
痘そうワクチンの備蓄戦略の為の品質向上、生産性向上に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
大隈 邦夫((財)化学及血清療法研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 森川 茂((国)感染症研究所)
  • 横手 公幸((財)化学及血清療法研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
乾燥細胞培養痘そうワクチンLC16m8は、近年天然痘ウイルスによる生物テロの危機が叫ばれている中、対策の一環の生物テロ対策用医薬品として、国家備蓄が行われることとなった。本研究では、天然痘ウイルスを用いた生物テロ対策をより効率的なものとするため、現在備蓄の為に製造されている痘そうワクチンロットの品質・安全性評価と、生産性の向上を目的とした。
研究方法
痘そうワクチンLC16m8のより正確で安定な力価試験法としてポック法とプラック法を比較検討した。弱毒生ウイルスワクチンとしてのシードロットの品質管理、及び細胞基材の品質管理システムを確立し、近年の検査法(PCR法等)を用いて評価した。幼若ウサギの腎細胞を用いた現製造法の改善・改良のために継代細胞(RK-13細胞、MRC-5細胞、Vero E6細胞)を用いた増殖性の研究を行った。
結果と考察
1)長期保存中の力価推移の解析から、鶏卵漿尿膜接種によるポック法での力価がばらつくことが明らかとなった。一方、プラック法では株化細胞を用いるため測定年度による誤差は極小にできると考えられ、プラック法での力価測定の結果は2施設間で良く一致し有意差は認められなかったことから、プラック法による力価測定法がポック法より優れた試験法であると結論される。2)痘そうワクチン現製造ロットの安全性評価は、ウサギ皮膚刺激性実験結果及びサル脳内投与実験において、LC16m8株樹立時に検討された結果と同様あった。今回新たに成熟マウス脳内投与実験、幼若マウス脳内投与実験、SCIDマウス腹腔内投与実験を実施し、LC16m8株の高い安全性成績を得た。3)マスターウイルスシード、ウサギコロニー、ウサギ腎細胞に関する外来性因子の検査を行い、すべて陰性であった。4)生産性向上の予備的検討として、継代細胞を用いてLC16m8株の増殖性を評価した結果、Vero E6細胞はRK-13細胞に対してウイルス力価が約1/100と低かった。5)有効期限の延長の基盤となる予備的検討を行い、原液においては、12ヶ月までの安定性を確認した。
結論
現在製造されている痘そうワクチン(LC16m8)ロットを用いて過去取得された安全性動物実験を実施した結果、同様に安全性が高いことを示す成績が得られた。

公開日・更新日

公開日
2005-05-13
更新日
-