脳死下での臓器移植に関する諸課題についての研究

文献情報

文献番号
200401397A
報告書区分
総括
研究課題名
脳死下での臓器移植に関する諸課題についての研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
田中 紘一(財団法人 先端医療振興財団)
研究分担者(所属機関)
  • 大橋 靖雄(東京大学大学院医学研究科 生物統計学)
  • 谷澤 隆邦(兵庫医科大学 小児科学)
  • 福原 俊一(京都大学大学院医学研究科 健康解析学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脳死下での臓器移植を巡る諸課題について明らかにし、今後の議論に資する基礎資料の蓄積と、想定しうる解決手法等について検討を行う。
研究方法
わが国における脳死下臓器移植の課題として、特に小児からの臓器提供に関する論点が問題となっている。この点について日本小児科学会倫理委員会が中心となってこれまでに行ったアンケート、公開フォーラム及び「小児脳死臓器移植に関する検討小委員会」の議論を踏まえ、あるべき姿について検討を行った。またわが国における生体移植症例の増加は、脳死移植実施数の低迷と表裏をなすものと考えられることから、生体ドナーの問題点及びこれらの評価に必要な症例登録・追跡システムについても検討を行った。

結果と考察
日本における脳死移植のあり方としてのジャパンモデルを構築するためには、ドナー・レシピエントとなるべき小児への配慮、特に被虐待児脳死例の排除、小児の人権擁護、小児の脳死判定基準の検証が重要である。具体的な被虐待児からの臓器提供を防ぐ方策としては、担当医のみならず、看護師、MSWなどの医療関係者の虐待への認識と発見能力の向上、院内に虐待検討委員会を設置し公的な監視システムを確立することなどが挙げられた。また小児科医に対するアンケート結果からは12歳以上が臓器提供に関する意思表示を行うことのできる年齢として適切との結果が得られているが、当該年齢を巡る自己決定権の取扱いについては今後も継続的な検討が必要と考えられた。また生体移植に関する文献的検索により、生体ドナーの負担については社会的アウトカムも含めて、脳死移植と比較・評価されるべきことが示唆された。
結論
臓器移植を巡る現在の諸課題について調査することにより、今後の議論に必要な論点が明らかになった。わが国おける小児ドナーからの脳死下臓器提供に関しては、小児の人権を損なうことなく、これらの課題の解決について継続的に取り組んでいくことが必要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2005-06-27
更新日
-