ナノマテリアルの安全性確認に必要な生体影響試験に関する緊急調査

文献情報

文献番号
200400037A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノマテリアルの安全性確認に必要な生体影響試験に関する緊急調査
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
菅野 純(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター毒性部)
研究分担者(所属機関)
  • 広瀬 雅雄(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター病理部)
  • 林 眞(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター変異遺伝部)
  • 江馬 眞(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター総合評価研究室)
  • 広瀬 明彦(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター総合評価研究室)
  • 井上 達(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ナノテクノロジーの中心的な役割を担うナノサイズマテリアルの生体影響の大枠を明らかにし、ナノテクノロジーの利用が安心して進められるように対応することが求められている。そのために必要な緊急調査と、将来に課される必要な詳細検討の要件を明らかにすることを目的とする。
研究方法
毒性、病理、遺伝毒性、生殖発生毒性、体内動態、生体反応分子からの蓋然的生体影響、及び化学物質総合評価の観点からの検討を行った。
結果と考察
フラーレンなどについては、光照射により活性酸素発生などの遺伝毒性に結びつく有害影響を引き起こすことが知られているが、比較的短期間の実験では、それほど有害性を示さないとの報告がある。しかし、細胞内への透過性や長期にわたる組織内での安定性などに関する情報は無く、必ずしも発がん性を否定できない。溶媒や光照射などの実験条件による遺伝毒性や生物活性の違いは重要な因子になると思われる。また、生殖発生毒性に関する知見はほとんど報告されていないが、肺、腸管及び皮膚などからのナノ粒子の体内への取り込み、免疫システムや体循環、中枢神経系への再分布という知見からは、生殖器官や胎児への再分布も否定できないと考えられた。病理学的には、気管内投与における肺の炎症反応や皮膚塗布による免疫反応などの知見が得られているものの、実際の暴露量を考慮に入れた評価の必要性、粒子のサイズ・表面積に基づいた生体内への浸透後の生体の反応についてのメカニズム研究、長期実験の必要性が検証された。蓋然的生体影響の観点からは、生物学的な応用の展望と生体の利得の側から見たときに好ましくない影響の発現する可能性が表裏一体の関係にあることから、ナノマテリアル問題は、その関係に原点を置いて検討される必要があると考えられた。
結論
現在までに報告されている断片的な毒性情報の状況からは、まずナノマテリアルの体内動態を様々な暴露経路や状況に応じて把握することが必要である。また、実際の暴露量の想定についても、暴露評価の観点からナノマテリアルごとに検討しておく必要がある。さらに、環境中及び生体試料中の分析法の開発が必要であると同時に、吸入経路や経皮経路により報告されている組織への影響を考慮すると、神経系への影響や、変異原性及び免疫・炎症反応及びそれらに引き続く発がん性等について、適切な実験条件のもとに検討を行う必要性が高いと結論された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-19
更新日
-