国立ハンセン病療養所における現状及び将来に関する対策の研究

文献情報

文献番号
200400033A
報告書区分
総括
研究課題名
国立ハンセン病療養所における現状及び将来に関する対策の研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
長尾 榮治(国立療養所大島青松園)
研究分担者(所属機関)
  • 福西 征子(国立療養所松丘保養園)
  • 小島 誠一(国立療養所東北新生園)
  • 東  正明(国立療養所栗生楽生園)
  • 青崎  登(国立療養所多摩全生園)
  • 前田 光美(国立療養所駿河療養所)
  • 藤田 邦雄(国立療養所長島愛生園)
  • 牧野 正直(国立療養所邑久光明園)
  • 原田 正孝(国立療養所菊池恵楓園)
  • 有川  勲(国立療養所星塚敬愛園)
  • 佐藤 紘二(国立療養所奄美和光園)
  • 山内 和雄(国立療養所沖縄愛楽園)
  • 比嘉 賀雄(国立療養所宮古南静園)
  • 宮村 達男(感染症研究所ハンセン病研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
全国の国立ハンセン病療養所における現状を分析すると共に将来推移とイメージ像を予測し、その実現に必要な対策内容と計画を提示して国の政策に反映させる。
研究方法
各施設の入所者数の将来推計や状態(疾病・活動性・住居等)変化の予測、園に大変化・変動が起こす要素の抽出、構想実現の必要条件・問題点・課題等を調べた。
結果と考察
調査・分析の結果、今後の対策と課題として施設機能は①ハンセン病元患者に対する施設機能の優先②現在のコロニー的な運営から将来はホームや病棟的な運営に切り替え③他機能の導入は入所者の医療・福祉を維持する補完的な内容である。医療体制は①園内の医療体制と外部医療機関との二本柱ですすめる。②園内はホームドクター、専門医療は外部から行う体制が望ましい。③外部医療機関へ治療・看護内容の具体的なハンセン病教育が必要である。④外部医療機関での送迎・手続き・付き添いの確保が必要である。建物は①施設整備計画を5年単位の計画で進め、集約化をすすめる。②入所者にとって各種活動が利用可能な位置に移動させる。基盤部門の縮小が可能になる整備をする。職員配置は①不自由者センターの準病棟化を考慮することも必要である。②効率化を目的に、再配置が必要である。5)100名体制へ①ホームドクターの確保②配置職員数の適正化③業務効率化の施設や機器の整備④入所者意向調査を実施⑤園内生活のQOL向上を図ること等が必要である。
結論
将来構想を実現するには、多くの不確定な要素が存在し、それらを左右する決定的な要素は、「入所者の意向」であることが明確になり、入所者自治会の「将来構想検討委員会」による「入所者の意向」を待つことが必要となった。そこで、“絵に描いた餅”を論議するよりも、将来に生じると推測される問題点・課題を抽出し、対策実現を可能にするための課題を提出した。
将来構想を実現させる条件は①制度(法)的に実現が可能であること②適材適所に人の確保ができること③ハンセン病を理解している外部環境を確保すること④入所者に必要な医療と福祉の内容を把握すること⑤入所者個々の希望が叶えられるよう努力すること、等である。第1位優先課題は「入所者の最後の1人まで対応すること」であり、「入所者が居なくなった後の施設をどうするか」ではない。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-