医薬品の適応外使用の適正化に関する調査研究

文献情報

文献番号
200400031A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品の適応外使用の適正化に関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
黒川 清(東京大学先端科学技術研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 藤原 康弘(国立がんセンター中央病院)
  • 小野 俊介(金沢大学大学院薬剤経済学)
  • 山本 晴子(国立循環器病センター)
  • 土田 尚(国立成育医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の保険医療制度下では薬事法で承認を取得した適応と医療保険のカバーが原則として1対1の対応となっている。このため医療の現場では、研究の進歩に伴って、ある療法が医学薬学上の公知となっても、いわゆる適応外として使用されている。これらの問題の海外における状況を把握するとともに、その解決を図る提言をすることを目的とした。
研究方法
生活習慣病領域と小児領域における適応外使用の我が国における実態と、その原因等についての調査を行った。
また欧州における適応外使用・例外的使用(compassionate use)の現状及び関連施策を調査した。規制当局としてEMEA、仏医薬品庁、MHRA、臨床試験を積極的に実施している医療機関としてEORTC、仏国立がん研究所、英NCRN及びMRC、製薬企業関連団体としてEFPIAをそれぞれ訪問した。
結果と考察
生活習慣病領域・小児科領域とも、適応外使用の是正には臨床試験をスムーズに実施できるインフラ整備が必須であることを明らかにした。また専門的医療機関における限定的使用、投与対象や臨床試験の登録制の導入も必要であると考えられた。さらに小児領域についてはより特別な支援策も必要であると考えた。
EUでは2001年に公布されたDirective (2001/20/EC)を踏まえて、治験であるか否かに関わらず、” interventional”な臨床試験はICH-GCP準拠が求められており、それに合わせたインフラ整備が進んでいた。適応外使用については、届け出制により規制当局等が実態把握をすると共に、IRB及び規制当局によるプロトコール審査等を経れば、研究的診療部分を保険あるいは研究費でカバーするシステムも構築されていた。例外的使用についてはフランスの環境整備が最も進んでおり、それにならった制度がEU全体に採用される方向となっていた。
結論
適応外使用等の根本的解決策として (1)海外の例にならって薬事制度・保険制度が協調的に足並みを揃えて「適応外使用」を単なる形式的問題とするアプローチ、(2)中長期的に日本人における薬剤治療のエビデンスが十分に蓄積され、それが適切な情報提供につながるようなインセンティブを設けるアプローチ等が必要であろう。

公開日・更新日

公開日
2005-04-28
更新日
-