高齢者介護施設における感染管理のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200400014A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者介護施設における感染管理のあり方に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
辻 明良(東邦大学 医学部看護学科 感染制御学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢者介護施設における感染管理のあり方を検討するための基礎資料とするために、高齢者介護福祉施設における感染対策の実態を把握するとともに、これらを踏まえた感染対策マニュアル(案)の作成を行うことを目的とした。
研究方法
本研究では、専門家からなる研究班会議を設置し、調査票の検討及び結果の解析、これらを踏まえた感染対策マニュアル(案)の検討を行った。調査対象は平成17年1月のWAM-NET事業者情報に登録されている介護老人福祉施設5,419施設とし、回収率は35.1%であった。調査方法は自記式質問紙の郵送配布・回収とし平成17年2月~3月に実施した。調査項目は施設属性、感染管理体制、感染対策の実施状況、職員の健康管理等とした。これらの質問紙調査結果等を踏まえ、感染対策マニュアル(案)の作成を行った。
結果と考察
施設における感染管理体制としては、感染管理に関する委員会は67.8%の施設で設置されていた。委員会が設置されている施設では、96.4%で感染症の疑いや発生状況を把握していることから、感染管理に関する委員会を設置することが望まれる。感染対策に関するマニュアルは91.5%の施設で作成されていた。また、施設内で感染管理に関する研修を実施しているのは28.7%、施設内の会議等で周知しているのが56.4%であった。ケア場面での感染対策の実施状況をみると、看護介護行為ごとの手洗いや手指消毒の方法にばらつきがあるため、スタンダードプリコーションに基づいた感染対策を確立することが求められる。感染症の早期発見のための症状や兆候は多くの施設で把握しており、感染症などの疑いに対する報告の取り決めがある施設は82.4%、その場合に外部へ相談・連絡する取り決めがある施設は85.4%であった。
結論
本調査の結果から、高齢者介護福祉施設において、感染管理に関する委員会を設置すること、職員研修を充実すること、マニュアル等を整備すること、感染症等発生時の報告体制を整備すること、看護介護ケア場面において感染を防ぐために職員に対する教育研修が必要なこと等が示唆された。また、本実態調査の結果を踏まえて、高齢者介護福祉施設における感染対策マニュアル(案)を作成した。

公開日・更新日

公開日
2005-04-28
更新日
-