食品中のアレルギー物質の同定と表示方法に関する研究

文献情報

文献番号
200400012A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中のアレルギー物質の同定と表示方法に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
宇理須 厚雄(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 武田 正倫(国立博物館系統分類学)
  • 塩見 一雄(東京海洋大学海洋食品科学科)
  • 海老澤 元宏(国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患部)
  • 仲野 照男(食品産業センター技術開発部)
  • 穐山 浩(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
21,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
エビは即時型食物アレルギー件数の頻度と重症度では表示義務品目に次ぐ順位にある。アレルギー疾患を有する者の健康被害防止の観点から、エビは特定原材料(表示義務食品)とすることを視野に入れ早急な対策をとる必要があると認められている。エビと同じ十脚目に属するヤドカリ類・カニ類、十脚目以外の甲殻類(シャコ、オキアミなど)、トロポミオシン(TM)を主要アレルゲンとする軟体類などとの分類学的、生物学的、免疫学的、医学的、分子生物学的な関連性を明らかにすることによって、エビの食品表示のための科学的なエビデンスを得ることが本研究の目的である。さらに、食品への表示実現可能性も検討した。
研究方法
①エビ、カニの生物学的分類研究、②エビ、カニ抗原性研究、③エビ、カニ摂食時病態生理研究、④エビ、カニ表示実現可能性評価研究、⑤食品中のアレルギー物質検知法開発研究。
結果と考察
エビアレルギー患者IgEは甲殻類に属する生物のTMだけではなく、軟体類TMに対しても反応し、甲殻類と頭足類の間にも抗原交差性がみられた。しかし、エビアレルギーと軟体類アレルギーの合併率はエビアレルギーとカニアレルギーの合併率と比較すると低く、エビと軟体類(タコ、イカ、アワビ)のTMのアミノ酸配列の相同性は甲殻類TM同士の相同性と比較すると低かった。以上から、軟体類と甲殻類との間には交差反応性はあるが、アレルゲン性が異なる部分も大きいと考えられた。検知法でも甲殻類TMに特異性が高い測定系を確立することが可能であり、軟体類と区別できることが示唆された。生物学的分類も加味すると、甲殻類の中の十脚目はエビ類、ヤドカリ類、カニ類に細分されるが、これらを「えび、かに」としてまとめるほうが合理的であると考えられた。食品団体からのアンケート結果ではエビ・カニを表示義務とすることは可能という意見が多かった。しかし、甲殻類の魚介産物への混入や甲殻類の高度~中等度加工品の扱いなど表示に関する質問が挙がった。
結論
エビのみならず甲殻類(エビ、カニ、ヤドカリ含む)を表示対象として取り扱い、軟体類・貝類とは区別する対応が妥当と考えられた。十脚目とそれ以外の甲殻類とを区別できる検知法が開発できるかが課題である。エビとカニを区別する必要がある場合は、エビとカニのDNAレベルで検知するPCR法の開発を検討する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2005-05-11
更新日
-