我が国における狂犬病予防対策の有効性評価に関する研究

文献情報

文献番号
200400008A
報告書区分
総括
研究課題名
我が国における狂犬病予防対策の有効性評価に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
井上 智(国立感染症研究所 獣医科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 沼田一三(兵庫県(龍野健康福祉事務所))
  • 岡崎留美(東京都(動物愛護相談センター))
  • 青木憲雄(那珂動物病院)
  • 新井 智(国立感染症研究所(感染症情報センター))
  • 大日康史(国立感染症研究所(感染症情報センター))
  • 源 宣之(岐阜大学(応用生物科学部))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国では、「狂犬病予防法(1950年制定)」により全国的なイヌの狂犬病対策を強力に推進して国内から狂犬病を一掃した。しかし、海外での狂犬病再流行や流行拡大、イヌ以外の野生動物における狂犬病の流行とヒトや動物、物資などの流通形態のグローバル化が国内への狂犬病侵入経路や発生リスクを多様化させている。そこで、本研究では現行の狂犬病対策が現在の狂犬病発生リスクにも十分対応できているのか解析することとした。
研究方法
(1)現行法による狂犬病対策(犬の登録とワクチン接種、野犬等の取締、輸入検疫等)の現状把握、(2)自治体の体制整備状況の把握、(3)狂犬病の国内侵入経路の調査、(4)狂犬病侵入リスクと狂犬病発生時に予想される被害のモデル解析、上記の研究結果の分析による現行の狂犬病対策の有効性評価。
結果と考察
平成16年度の犬等の輸入検疫制度改正により狂犬病の侵入対策は強化されたと考えられるが、不法上陸犬や侵入動物による狂犬病侵入リスクを低減する対策の強化が必要である。現状の推定予防接種率50%前後でも国内に狂犬病が侵入・発生した後まん延するリスクは低いと考えられたが、接種率70%以上の維持により発生時のイヌでの感染拡大の予防とヒトへの感染リスクの低減が可能となる。アジア地域での狂犬病発生状況等、日本を取り巻く状況では国内への狂犬病侵入リスクを否定できない。したがって、自治体における検査体制を強化するとともに野生動物も含めた狂犬病のサーベイランス体制の構築、発生時の対応マニュアルの整備、自治体に対する技術的援助の推進(狂犬病研修会等)が今後も必要である。
結論
本研究で行なわれた疫学的・数理統計的解析は国内で初めての試みであり、狂犬病が侵入するリスク経路等の数理的解析、現行法や海外で行なわれている狂犬病対策の狂犬病発生リスク分析、対策システム構築費用対効果の算出、狂犬病の発生時に予想される公衆衛生上の被害の数値化ついては今後も継続して解析を行なう必要がある。狂犬病を制圧して半世紀が過ぎた現在の日本では、狂犬病の発生による過度な社会的混乱、経済的損失、風評被害等が甚大になると予想されるため、本研究成果を関係方面各位に広く配付して日本の狂犬病対策について議論をすすめるとともに、我が国にとって必要十分な狂犬病対策の立案に有効活用されることを切に願う。

公開日・更新日

公開日
2005-05-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)