国際的な健康危機管理に必要なスキル獲得のための人材育成のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200400173A
報告書区分
総括
研究課題名
国際的な健康危機管理に必要なスキル獲得のための人材育成のあり方に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
森田 公一(長崎大学〔熱帯医学研究所〕)
研究分担者(所属機関)
  • 賀来 満夫(東北大学〔医学部〕)
  • 門司 和彦(長崎大学〔熱帯医学研究所〕)
  • 黒崎 伸子(独立行政法人国立病院機構 長崎病院 〔小児外科〕)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 国際健康危機管理ネットワーク強化研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は感染症に関連する国際健康危機対策の実施に係わる質の高い人材の育成を促進する事である。そのために本研究では国際健康危機に必要なスキルを抽出したリストを作成しそれに基づく人材育成に活用できる教育カリキュラムを作成し、スキル育成の到達度評価方法を検討する。
研究方法
①SARS対策など近年の国際健康危機での国際機関や各国機関の対応を事例検討しどのようなスキルを有する人材が必要であったかを分析する、②各国の国際健康危機管理にかかわる人材育成カリキュラムを比較分析しそれにより育成されることが期待されているスキルを分析する、という2方向からの分析アプローチによりスキルの抽出をおこなう。このスキルリストに基づきカリキュラムを作成する。
結果と考察
2003年に発生したSARSの流行でWHO西太平洋地域事務局が動員した健康危機管理にかかわる専門家の国籍別解析では日本は全体の18%でオーストラリア(42%)につぎ2位であった。しかし、その他の機関を含めた派遣全体数ではオーストラリア(29%)、米国(24%)、日本(11%)であった。スキル別の比較では最も必要とされたのは疫学(41%)で、感染防御も全体の34%であった。日本人専門家の分野別割合は疫学43%、公衆衛生と感染防御が共に17%であった。各国教材の比較では疫学、ロジスティックスについては,より実践的な教材の開発が進められていた。それぞれのスキルについてはさらに細分化された研修項目の解析を実施した。
結論
SARSの流行はアジアで発生したが、我が国から動員された専門家数は豪州、米国に次ぐ3位であった。国際的な環境で活躍できる日本人の健康危機管理専門家が不足している事を如実に物語っている。また動員された人材のスキル別分析では疫学、感染防御、コミュニケーション、精神心理ケアー・人権、感染症学、ロジスティックス、実験室スキルに集中していた。SARS はヒトーヒト感染で拡大した事から疫学と感染防御の専門家の動員が各機関、NGOともに有意に多かった。また我が国から動員された専門家の中にロジスティックスや精神心理ケアーに関連した専門家はおらず、今後我が国が国際健康危機管理に貢献する人材を強化するに当たってはこの分野の人材育成を強化する必要がある。以上の現状解析と各国、NGOの教材解析から今後、より実践的でシミュレート可能な教育用資材の作成が必要である。

公開日・更新日

公開日
2005-06-10
更新日
-