多国間協力事業の進捗管理および評価手法のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200400170A
報告書区分
総括
研究課題名
多国間協力事業の進捗管理および評価手法のあり方に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 敏彦(北里大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 井出 義雄(聖マリア病院)
  • 長谷川 敏彦(国立保健医療科学院政策科学部)
  • 長谷川友紀(東邦大学医学部)
  • 池田 俊也(慶応義塾大学医学部)
  • 高橋 謙(産業医科大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 社会保障国際協力推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
8,560,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
凡そ事業の目的が効果的に遂行されるためには、進捗管理と評価が不可欠であると考えられている。現在、あらゆる分野の事業遂行にあたり「計画-評価-実施」(Plan-Do-See)という、いわゆるプロジェクトサイクルの考え方が導入され成果を上げている。公共政策の評価は、このような効果的な実施のためのみならず、その目標や実施の過程を明らかし、国民に対する説明責任を果たすためにも有用である。政策評価を実施する際にはまず、誰のために、どのような目的で評価することを明らかにする必要があるが、その点において、複数の視点を持たざるを得ない各国政府および民間財団等の複数の拠出者が支援する多国間協力事業の評価は困難さを伴うことが多く、その評価手法も確立されていない。本研究は、複数の拠出者(利害関係者)が関わる、多国間協力事業の進捗管理と評価において、わが国の視点と、その他の拠出者からの視点の相違を明らかにした上で、我が国の多国間協力事業を通じた国際協力の評価方法を確立することを主な目的とする。
研究方法
3年間の研究の初年度は政策評価方法に関する国内外の文献および報告などの資料を調査し、各手法における共通点および相違点を明確にした。特に評価者の視点の相違が評価項目および総合評価方法にどのように反映しているかについて着目し、これから先調査を進めるにあたって必要な評価軸(座標軸)を決定する。
結果と考察
共通点としては、1)モニタリングと評価の明確な区分をしていること、2)モニタリング・評価フレームワークは基本的にはどの機関も投入Input・プロセスProcess・産出物Output・成果Outcome・インパクトImpactsであること、3)事業評価の指標として基本的にどの機関も効率性・有効性・インパクト・妥当性・自立発展性を使用していること、などがある。一方、相違点として、組織の中での評価部門の位置付け、それに伴う評価に関する重要性の認識、重点をおく評価戦略、モニタリング・評価に関する資金の流れ、などが認められた。

結論
各機関の評価法のレビューにより明らかになった評価手法の共通点と差異を整理し評価軸を決定したことは、現在、進められている多国間協力事業である、WHOの「Global Alliance for Vaccines and Immunization(GAVI)」などのいくつかの具体的なプロジェクトの評価を試験的に実施しその評価結果のばらつきをみることを可能にし、最終目的である政策手法の確立のために有用なステップであると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-06-10
更新日
-