わが国の国際協力を担う国内の人材育成及び供給強化並びにキャリアパス拡充のために医学教育が果たすべき役割の研究

文献情報

文献番号
200400169A
報告書区分
総括
研究課題名
わが国の国際協力を担う国内の人材育成及び供給強化並びにキャリアパス拡充のために医学教育が果たすべき役割の研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
溝田 勉(長崎大学 熱帯医学研究所・社会環境分野)
研究分担者(所属機関)
  • 山本秀樹(岡山大学大学院医歯学総合研究科)
  • 坂野晶司(弘前大学医学部公衆衛生学講座)
  • 谷村 晋(長崎大学熱帯医学研究所・社会環境分野)
  • 水嶋春朔(東京大学医学教育国際協力センター)
  • 石井 明(自治医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 社会保障国際協力推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
2,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国では、医学教育(卒前・卒後)における熱帯医学や国際保健医療学の比重が低下している。医学の国際化や橋本イニシアティブが叫ばれながら、一般の医療専門家はともかく国際保健の専門家といわれる人でも熱帯医学や国際保健医療学については十分にトレーニングを積んでいない。少数の熱帯医学者は自分の専門の疾病・病原体には詳しいが医療政策、異文化と医療等の社会医学的知見やマネジメントの能力を欠いている。本研究では、そうした専門家やNGOなどの国際協力の現場経験が豊富な個人や集団に対して追跡調査を行い、実際に必要とされる現場でのニーズや知識・技能を明らかにすることを目的としている。
研究方法
総括研究者が全て関わる分担研究項目につきそれぞれ異なる。追跡調査、直接の事情聴取、文献・資料の収集、自由集会の開催、アンケート調査等を行ってその結果を持ち寄り、研究協力者の参加も得て総合検討会を複数回持った。研究協力者は、その総合検討会に持ち寄られた内容をまとめた。①医学部学生の国際保健医療協力に対する意識、②「保健師・看護師国家試験問題」、③公衆衛生学に進路を希望する学生・若手医師、④米国の公衆衛生学大学院、⑤効果的な医学教育国際協力他。
結果と考察
①人材の需要と供給は明らかなミス・マッチを呈している。しかし、それ以上に人材を求める側の専門性のレベルと、供与したい側の意識のギャップが甚だしい。②目的に適う人材育成や研修を推進するためのシステマティックな中味や制度が大幅に欠落しており、極く部分的な面を充当する機関が全国に散在するのみである。③欧米先進諸国のMPHコース設置およびその充実を格段に図り、二国間よりもむしろ、多国間で行われる国際協力を目標とすべきである。④ポストの獲得という形でミス・マッチを減少させる目的ならば、需要側のより迅速な情報開示と供給側の専門性向上に行政の真摯かつ継続的な支援が欠かせない。
結論
初年度において明らかにした国際協力に資する人材の需要と供給のミス・マッチは、極めて深刻である。我が国の医学教育においては保健医療分野で供給を満たすだけのシステムが未だ整備されていない。このシステムは専門的能力およびコミュニケーション・マネジメント能力を兼ね備えるべきで、散在する現行のMPHコースの真似事では国際協力人材の「質」にそぐわない。多国間協力の実例から多くを学べる。

公開日・更新日

公開日
2005-05-13
更新日
-

文献情報

文献番号
200400169B
報告書区分
総合
研究課題名
わが国の国際協力を担う国内の人材育成及び供給強化並びにキャリアパス拡充のために医学教育が果たすべき役割の研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
溝田 勉(長崎大学 熱帯医学研究所・社会環境分野)
研究分担者(所属機関)
  • 山本秀樹(岡山大学大学院医歯学総合研究科)
  • 坂野晶司(弘前大学医学部公衆衛生学講座)
  • 谷村 晋(長崎大学熱帯医学研究所・社会環境分野)
  • 水嶋春朔(東京大学医学教育国際協力研究センター)
  • 石井 明(自治医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 社会保障国際協力推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国では、医学教育(卒前・卒後)における熱帯医学や国際保健医療学の比重が低下している。医学の国際化や橋本イニシアティブが叫ばれながら、一般の医療専門家はともかく国際保健の専門家といわれる人でも熱帯医学や国際保健医療学については十分にトレーニングを積んでいない。少数の熱帯医学者は自分の専門の疾病・病原体には詳しいが医療政策、異文化と医療等の社会医学的知見やマネジメントの能力を欠いている。本研究では、そうした専門家やNGOなどの国際協力の現場経験が豊富な個人や集団に対して追跡調査を行い、実際に必要とされる現場でのニーズや知識・技能を明らかにすることを目的としている。
研究方法
総括研究者が全て関わる分担研究項目につきそれぞれ異なる。追跡調査、直接の事情聴取、文献・資料の収集、自由集会の開催、アンケート調査等を行ってその結果を持ち寄り、研究協力者の参加も得て総合検討会を複数回持った。研究協力者は、その総合検討会に持ち寄られた内容をまとめた。①医学部学生の国際保健医療協力に対する意識、②「保健師・看護師国家試験問題」、③公衆衛生学に進路を希望する学生・若手医師、④米国の公衆衛生学大学院、⑤効果的な医学教育国際協力他。
結果と考察
①人材の需要と供給は明らかなミス・マッチを呈している。しかし、それ以上に人材を求める側の専門性のレベルと、供与したい側の意識のギャップが甚だしい。②目的に適う人材育成や研修を推進するためのシステマティックな中味や制度が大幅に欠落しており、極く部分的な面を充当する機関が全国に散在するのみである。③欧米先進諸国のMPHコース設置およびその充実を格段に図り、二国間よりもむしろ、多国間で行われる国際協力を目標とすべきである。④ポストの獲得という形でミス・マッチを減少させる目的ならば、需要側のより迅速な情報開示と供給側の専門性向上に行政の真摯かつ継続的な支援が欠かせない。
結論
初年度において明らかにした国際協力に資する人材の需要と供給のミス・マッチは、極めて深刻である。我が国の医学教育においては保健医療分野で供給を満たすだけのシステムが未だ整備されていない。このシステムは専門的能力およびコミュニケーション・マネジメント能力を兼ね備えるべきで、散在する現行のMPHコースの真似事では国際協力人材の「質」にそぐわない。多国間協力の実例から多くを学べる。

公開日・更新日

公開日
2005-05-13
更新日
-