家計の効用・行動の視点を踏まえた公的年金の役割及び改革に関する実証的研究

文献情報

文献番号
200401381A
報告書区分
総括
研究課題名
家計の効用・行動の視点を踏まえた公的年金の役割及び改革に関する実証的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
財団法人 年金総合研究センター(財団法人 年金総合研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木亘(大阪大学大学院経済学研究科)
  • ホリオカ、チャールズ・ユウジ(大阪大学社会経済研究所)
  • 安部由起子(亜細亜大学経済学部経済学科)
  • 中里幸聖(財団法人 年金総合研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
年金に関するマイナス面に偏った議論に対し年金の効用や役割を評価した上で制度改善及び経済政策等のための基礎イメージを提供すること、年金改革に対する家計行動の変化の定量化により、改革の副次的効果を織り込んだ包括的な年金改革の立案に資することを目的とする。
研究方法
①年金に対する効用・選好の評価・・・公的年金に対する意識や年金必要額などを把握するため、アンケート調査を実施し個票データを分析。②家計の労働供給に対する影響・・・パートタイム労働者総合実態調査を重点的に活用。③地域経済に対する影響・・・都道府県別の産業連関表を用いて、年金の経済効果について試算。
結果と考察
①1)将来の年金改革や不確実性を加入者は既に織り込んでいる2)公正な制度として希望している改革は、社会保険の枠組みを持ちつつ個人の納付に給付がリンクした制度3)加入者はある程度の高負担・高福祉を望んでいる可能性がある4) 各世代とも自分の世代の利得を最も重んじている5)加入者の年金制度に対する知識や認識は乏しいことがわかった。②家計の労働供給に対する影響・・・パート労働者の年収の壁については、103万円と130万円ならば前者が実際の制約になっていた。多重就労に関して、女性パート労働者の5%程度が多重就労をしていることがわかった。かけもちの場合、一つの勤務先の場合と比べ、被用者保険には加入しない傾向があった。③地域経済に対する影響・・・年金給付額割合や都道府県ごとの産業構造の違いも影響し、年金の給付及び徴収が地域経済に与える影響は異なることが確認された。
結論
①年金に対し当局が教育や啓蒙活動に力を入れることで、信頼感を得られる余地が大きいこと②パート多重就労の場合に社会保険加入をどのように促進・徹底するかが今後の課題となること③年金制度の改革を考える際地域経済の視点も考慮する必要があることなどが政策的に示唆される。

公開日・更新日

公開日
2005-04-07
更新日
-