社会福祉専門職国家資格化後におけるソーシャルワーク実践事例の収集・評価による実践方法の標準化に関する研究

文献情報

文献番号
200400155A
報告書区分
総括
研究課題名
社会福祉専門職国家資格化後におけるソーシャルワーク実践事例の収集・評価による実践方法の標準化に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
手島 陸久(日本社会事業大学社会福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 後藤 隆(日本社会事業大学社会福祉学部)
  • 山下英三郎(日本社会事業大学大学院福祉マネジメント研究科)
  • 田中千枝子(東海大学健康科学部)
  • 竹内幸子(日本社会事業大学社会福祉学部)
  • 小嶋章吾(国際医療福祉大学医療福祉学部)
  • 矢部正治(日本社会事業大学大学院福祉マネジメント研究科)
  • 柳田正明(独立行政法人重度知的障害者総合施設のぞみの園企画研究部)
  • 鈴木ゆかり(日本社会事業大学通信教育科)
  • 菱川 愛(東海大学健康科学部)
  • 有村大士((福)恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ソーシャルワークの専門性確立のために重要なことは、ソーシャルワーク実践の技術・方法・活動が何であるかを、理解と伝達が可能なものとしていくことにある。そのために、ソーシャルワーク実践事例そのものの、収集・蓄積および分析がまずもって必要であると考え、実践事例の収集の枠組みと方法、その分析・活用の方法の研究を行い、ソーシャルワーク実践事例をデジタル化し、それをもってデータベースの構築をめざすことを目的とした。
研究方法
研究第1年次である本年度においては、事例研究の方法を検証しつつ、収集事例の枠組みの検討を行うとともに、実践事例収集の枠組みに沿った事例提供を呼びかけ、かつ、公表するためのシステムの開発を完了した。また、ソーシャルワーク実践の記録と事例研究の重要性に関する講演会や現場実践者の参加をえて大規模な事例検討会を開催し、現場実践者への啓発と呼びかけを行った。さらには、継続的な事例検討会を開催し、実践事例の記録の質の向上を図りつつ、事例収集を行った。今後の実践事例に関するテキストデータ分析に資するため、社会福祉デジタル・アーカイブテキスト検索辞書を開発する必要があり、既存ソフトを基盤に開発を行っている。
結果と考察
 上記の目的で、ソーシャルワーク・アーカイブスの構築をめざすとき、そのあり方として(1)収集する実践事記録の枠組み・内容、(2)検索可能なデータベースのシステム、(3)プライバシー保護の重要性、(4)ソーシャルワーカーの共有財産としてのデータベース、の方向付けを行った。そのもとに事例の収集を行い、収集事例を検証した結果、以下のことが明らかになった。 ①現状のソーシャルワーク実践の記録は、特に経過記録が事務的な記録に終始している例が多く、事後的にまとめる場合でもトピックが確かでなかったり、根拠が不確かであることが多いこと。②相当の量があり、適切な要約と焦点化が求められる事例が多いこと。③とくに「ソーシャルワーク実践のプロセスやソーシャルワーカーの判断根拠等が可能な限り把握できる」という点については、主観的な判断とその基礎となる情報が明確でない事例も多いこと。したがって今後、データベースへの事例の集積に当たっては、事例の整斉に一層の努力が必要であることが明らかになった。
結論
 検証に耐えうる事例を集積していくためには、何よりも、事例研究の大切さ、面白さを現場実践者に伝えると共に、事例研究と事例の記録の方法を普及して行くことが重要であろう。長期的な視野でデータベースを作り上げ、活用していくためには、まずもって継続的な事例検討会等の取り組みが重要になる。

公開日・更新日

公開日
2005-07-06
更新日
-