若年者の就業行動・意識と少子高齢社会の関連に関する実証研究

文献情報

文献番号
200400149A
報告書区分
総括
研究課題名
若年者の就業行動・意識と少子高齢社会の関連に関する実証研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 博樹(東京大学社会科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 石田 浩(東京大学社会科学研究所)
  • 玄田有史(東京大学社会科学研究所)
  • 佐藤 香(東京大学社会科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、少子高齢社会の到来の中で現役世代を担う若年層の進路行動・意識・価値観の実態を把握するともに、彼らの行動や意識の変化についてパネル調査を実施して明らかにし、これからの若年雇用政策や社会保障制度改革にむけての基礎的な資料を提供することにある。
研究方法
平成16年度は、独自に実施した「高校生の生活と進路に関するアンケート調査」(高校生調査)と「高校生の進路指導に関するアンケート調査」(高校調査)を分析するとともに、高校卒業後の1年目の追跡調査を実施した。
結果と考察
本年度の研究から得られた知見は以下の通りである。
第1に、高校生の人生設計や将来の展望は、相反した意識が共存することが多いという特徴が分析から明らかになった。親と同居することは家事や収入の負担が少なくて楽であると考えつつ、将来的には親元からの独立を考えている。家庭観についても、男性は仕事、女性は家事育児といった伝統的な性別役割分業意識が強い反面、男性も積極的に家事や育児に参加すべきという意識も強い。
 第2に、高校生の進路決定についての分析では、希望進路の変更はあまり行われておらず、ほぼ半数近い生徒が希望進路をまったく変更していないことがわかる。高校生の進路選択は、学習時間や成績といったメリトクラティックな要因、性別、学校タイプ(普通科進学校、普通科非進学校、専門高校など)に加えて、自分の考えをはっきり相手に伝えることができたり、嫌な人ともうまく付き合っていけるような「対人能力」にも影響をうけることが明らかになった。
第3に、日米の高校生の生活と意識に関する比較からは、真面目だがあまり勉強せず学校へのコミットメントも低い日本の高校生像が明らかになった。日本の高校生は、学校に遅刻したり授業をさぼったり校則をやぶったりといった逸脱行動がアメリカの高校生に比べ著しく少なかった。しかし、学習時間に関しては、アメリカの高校生は日本の高校生よりもはるかに長い時間勉強しており、学校の授業内容についてもほとんどが面白いと感じていた。
結論
少子化による18歳人口の減少、進学率の上昇、卒業後無業者の増加、就職市場の縮小など高校生を取り巻く環境は大きく変貌している。このような先行き不透明さを反映してか、高校生の将来像と人生設計は異なる価値観が共存するアンビバレントなものとなっている。

公開日・更新日

公開日
2005-04-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-03
更新日
-