男性の育児休暇取得を促進する具体策に関する調査研究

文献情報

文献番号
200400146A
報告書区分
総括
研究課題名
男性の育児休暇取得を促進する具体策に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
岩男 壽美子(武蔵工業大学環境情報学部)
研究分担者(所属機関)
  • 国広 陽子(武蔵大学社会学部)
  • 高山 緑(武蔵工業大学環境情報学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,119,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
3年間のプロジェクトの初年度にあたる本研究の目的は,第1にこれまで仕事と育児をトレードオフの関係で捉え,職場ではマイナスイメージとされがちな男性の育児参画をプラスイメージに転換しうる要因は何かを明らかにすること,第2に男性が取得しやすい育児休業の条件を具体的な選択肢(メニュー)を示して明らかすることである.
研究方法
調査参加者は首都圏在住の未就学児のいる父親サラリーマン1000名(有効回答数756)である.自記式・郵送法による質問紙調査を実施した.質問内容は出産休暇制度・育児休業に関する知識,職場での育児休業取得状況,男性の育児休業取得促進についての意識(トップの姿勢・理解,多様なメニューの提示),仕事と家庭の関係,子育てから得られる仕事に対するメリットなどである.
結果と考察
回答を集計した結果,主に以下のことが明らかとなった;1)出産休暇・育児休業制度に関する知識は正しく理解されておらず,適切な広報活動の必要性があらためて認識された,2)実際に育児休業取得者は1.3%だったが,取得を希望あるいは検討した父親は12.3%いた,3)父親の育児休業取得促進には,「最短期間を定め取得を強制」と「昇進査定へ悪影響を与えない確約」に支持が集まった,4)育児休業へは「完全に休む」といった固定的なイメージがもたれていたが,実際に職場で最も取りやすいメニューとしては「1年間の残業免除」を挙げる者が最も多かった.5)9割近い父親が「子どもの成長が楽しい」と感じ,また子育てを通じて自己成長や自尊感情の高まりを実感していた.6)更に,育児を通じて顧客や部下への話し方,説明の仕方などコミュニケーション能力や対人スキルの向上など仕事への好影響も指摘された,また,6)家族の幸せと仕事の成果は密接に関係しており,「明日も頑張ろう」という活力は「仕事の達成感」よりもむしろ「家族」から得られていた.7)しかし,職場のトップは育児休業を「社会的イメージアップ」や「社会的責任」として捉えおり,このような仕事へのメリットを理解していないと,多くの父親達は認識していた.
結論
制度に対する正しい知識の普及をはかるとともに,制度自体を現実に即した柔軟なものにすることが重要である.また事業主に対して,父親が育児に関わることから得られる仕事へのメリットを積極的に示すことにより意識変革が進み、目標達成が可能になると思われる.

公開日・更新日

公開日
2005-04-07
更新日
-