医薬品の価格設定に関する国際比較研究

文献情報

文献番号
200400143A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品の価格設定に関する国際比較研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
白神 誠(日本大学薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 亀井美和子(日本大学薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現行の日本の薬価制度では、規格間調整という形で、含量の差が大きく薬価に影響する仕組みとなっている。一方、海外では、医薬品によって含量が異なっても同一価格としたり、価格差を設けていないケースなど(いわゆるフラットプライス)が見られる。本研究は、海外のフラットプライスの実態をとらえ、その価格設定がどのような意図で行われ、またその価格設定が有効に機能しているかについて分析し、今後の日本における薬価の設定方法の参考資料を提供することを目的として実施した。
研究方法
海外の実態調査として、まず、米国、英国、ドイツ、フランスの4カ国について、公表されている医薬品リストから経口薬に絞って、同一成分で含量に複数規格がある医薬品(後発品を除く)を抽出し価格をリストアップした。次に、リストアップした各国の価格情報について、成分別に名寄せし薬効分類別に整理することにより、各国別の全体の品目における価格設定方法の差異や医薬品の特性等による違いの有無をとらえた。
また、国内製薬企業に対して、フラットプライスに対する認識と、導入した場合に想定される影響等についてヒアリングを行った。
結果と考察
海外の実態では、高脂血症薬や抗エイズ薬等フラットプライスが比較的多く見られる薬効群も見られたが、同じ成分で、同じ製薬企業が販売するものでも国によってフラットプライスであったりそうでなかったりすることがみられ、企業の販売戦略上の観点からフラットプライスの採用が行われていることがうかがわれた。
国内製薬企業のヒアリングでは以下のような意見が聞かれた。
フラットプライス導入の効果としては、患者の一日あたり負担の均一化を図ることや、低い含量を基準としてフラットプライスが設定されれば、医療費の抑制効果があることなどが考えられる。しかし、医療費の抑制効果は、製薬企業の含量の設定方法に依存するため必ずしも期待できない。また、日本の薬価制度の下では、類似薬の間での整合性を取ることが困難になることなどが想定される。
結論
フラットプライスは薬価が自由競争下で設定されている環境において、製薬企業の販売戦略から始まったものであり、また日本においては比較的散剤が多いことや、少量の単位で処方が行われているなど、前提となる条件にも違いがある。日本におけるフラットプライス導入に関しては、こうした条件の違いについて十分把握したうえで検討する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2005-04-21
更新日
-