高齢転倒経験者における介護予防対策の費用対効果に関する研究

文献情報

文献番号
200400140A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢転倒経験者における介護予防対策の費用対効果に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
岡本 連三(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 丁次(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部)
  • 鶴見 隆正(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部)
  • 清水 順市(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部)
  • 長澤 弘(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部)
  • 浅利 勝照(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
3,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
①高齢転倒骨折の予防のために行なわれている高齢者筋力向上トレーニングや転倒予防教室を含む介護予防対策・事業の実際の経費を調査し、その経済的効果を大腿骨頚部骨折に関わる総医療費と比較し費用対効果について調査する。

②高齢者嚥下障害は食事制限を招き、低栄養から体力筋力減退を生じて転倒の原因となる。嚥下障害の治療・訓練にかかる費用を調査し、誤嚥性肺炎の治療費および大腿骨頸部骨折の治療費と比較し費用対効果について調査する。
研究方法
①大学病院および一般病院の大腿骨頸部骨折患者の総入院費用をアンケート調査する。高齢転倒骨折予防教室を含む介護予防対策および事業を行っている公的機関や介護老人保健施設などに一人当りの費用をアンケート調査する。

②高齢者嚥下障害訓練および治療費、誤嚥性肺炎にかかる治療費を大学病院および一般病院でアンケート調査する。
結果と考察
①大腿骨頚部骨折232名につき一人当たり平均総入院費は182万円、平均入院日数は47日であった。一方、高齢者転倒骨折予防教室を含む介護予防対策および事業に要する一人当たり費用は平均4万円と廉価であった。費用対効果の面で介護予防対策・事業は国家経済上有意義である。一部の転倒予防教室では施行前・後で転倒率が大きく減少する報告もみられるがなお調査を深める必要がある。

②嚥下障害の非侵襲的客観的評価の取り組みを行い、頸部運動と筋活動の関連を調査し将来性について有望な結果を得たが、さらに症例を増やし検討が必要である。また嚥下障害および誤嚥性肺炎に関するアンケートを作成した。来年度本調査から嚥下障害に関わる訓練費用、治療費用および誤嚥性肺炎の総治療費を算定し、費用対効果に即した検討を行う予定である。
結論
①大腿骨頚部骨折について大学病院28名、一般病院204名、計232名について総入院費平均182万円であり高額であった。入院日数は平均47日で長期入院治療が必要であった。人工骨頭置換術は218万円、骨接合術は134万円と人工骨頭置換術はより高額であった。

②介護予防市町村モデル事業(筋力向上トレーニング事業)の施設19施設、神奈川県内介護老人保健施設72施設のアンケート調査で一人当たり平均4万円弱程度で安価であった。

③転倒予防のための横須賀市高齢者体力づくり教室117参加者について体力向上33.3%、低下5.8%と向上した者が多かった。

④嚥下障害高齢者23名の頸部運動と筋活動の相関から非侵襲的客観的調査の有効性についての示唆を得た。

公開日・更新日

公開日
2005-04-07
更新日
-