社会保障と私的保障(企業・個人)の役割分担に関する実証研究

文献情報

文献番号
200400129A
報告書区分
総括
研究課題名
社会保障と私的保障(企業・個人)の役割分担に関する実証研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
府川 哲夫(国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 大石 亜希子(国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部)
  • 山本 克也(国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部)
  • 菊地 英明(国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
9,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、社会保障と私的保障とのかかわりに着目し、公私の役割分担を明確にした社会保障パッケージのあり方を考察することを目的としている。具体的な研究テーマは以下の通り。(1) 社会保障の企業負担に関する研究、(2) 公的年金と私的年金の代替関係に関する研究、(3)非正規労働者への社会保険適用に関する研究。
研究方法
平成16年度は、企業負担の実態を探るためにアンケート調査を実施したほか、諸外国の年金改革の動向や日本におけるキャッシュ・バランス型年金の実状について分析し、また、非正規労働者の中でも近年増加が著しい請負労働者の実態把握も行った。未納・未加入問題についても、予備的な実証分析を行った。
結果と考察
本年度の研究から得られる主な知見は以下の通りである。
第1に、アンケート調査からは、社会保険料の企業負担に関しては、85%の企業が「保険料負担が高い」と回答し、業種間・規模間の差は少なかった。厚生年金基金に関しては、20%あまりの企業がすでに代行返上をし、7%弱の企業が代行返上を考えている。代行返上を考えている企業も、今後の企業年金制度像について尋ねると、日本版401kをとる(24%)のか確定給付企業年金(21%)にするのか分かれている。
第2に、CB型年金等の新たなタイプの企業年金は、年金制度として最も重要な要素である「持続可能性」に優れているものと考えられる。その点で、私的老後保障の一翼を担うに相応しい制度であり、今後の普及・発展が期待される。
第3に、諸外国における公私の役割分担については、それぞれの国における制度的沿革、また、年金以外の社会保障制度との関係について留意することが必要である。第4に、非正規労働者の増加に社会保険が対応する上で最も大きなポイントは、所得保障ニーズのとらえ方、すなわち、基礎年金(国民年金)と厚生年金の一元化問題であるといえる。
第5に、未納・未加入問題の背景に、流動性制約(所得に比して保険料負担が重いこと)や逆選択(自分の予想死亡年齢が低いこと)がある可能性が指摘された。
結論
平成17年度は、16年度の企業アンケート調査から得られたデータに企業財務データ等を組み合わせて、業種・業績と福利厚生制度の実状、代行返上と企業業績のタイミングなどについて実証分析を行うとともに、他のテーマについても調査結果をワークショップで報告し、研究成果を報告書にとりまとめる。

公開日・更新日

公開日
2005-04-07
更新日
-