男性の子どもの価値観と出産・育児に関する研究

文献情報

文献番号
200400127A
報告書区分
総括
研究課題名
男性の子どもの価値観と出産・育児に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
辻 明子(総合研究開発機構研究開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 高崎 文子(清泉女学院大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
1,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
今日の少子化現象を緩和するためには、男性の育児関与が重要なポイントであると考えられる。男性に対しても育児休業制度など制度的には育児に参加が可能な環境がととのいつつあるが、なぜ大多数の日本の男性はこうした行動に移行しない(できない)のであろうか。この点を本研究では心理学(動機づけ:動機を持ち行動を起こすまでの心理的過程)の手法を中心に用いて明らかにすることを目的とした。
研究方法
本研究では主な研究対象を「男性」とし、具体的には、1.男性の子どもの価値観とライフコース上の意味、2.カップルの出産・育児の決定に対する男性の関与、3.男性の出産・育児への動機づけプロセスの解明を行った。
これまで(平成15年度及び16年度)、1.文献研究(子どもの価値に関する文献研究、少子化政策に関する文献研究及び政策評価)、2.調査票を用いたプロトタイプアンケート調査(未婚者用)の実施(調査対象者1112人、20代未婚者)、3.グループインタビュー調査(男性45名)を行った。
結果と考察
専業主婦カップルの場合、追加的に子どもを持つことに関して、子育ての長期的経済的コストがネックとなっている。これを解消するためには、妻がフルタイム雇用に就くことが改善案となる。
共働きカップルの場合、子どもがうまれる前の家事分担はよく行われているが、子育てに関しては妻に依存する場合が多く、これが追加的に子どもを持つことのネックとなっている。これを解消するためには、子育ても家事のように分担を行う必要がある。
実際に夫も妻と同じように子育てを分担するには、社会的な制度(育児休業制度など)の活用が重要であるが、なかなか活用されていない。活用されるかどうかは(動機づけられるかどうか)は、それを行うことに伴うメリットとデメリットに左右される。インタビュー調査によれば、メリット(子育てに対する意欲の充足)などはそれなりにあるものの、デメリット(取得中の所得がないこと、復帰後の処遇)を非常に強く感じていることがわかった。
結論
上記を踏まえ、今後の課題としては、「子どもを持つことに関する、目標設定(質も含める)、動機の内発性及びインセンティブ(ディスインセンティブ)」の因果関係と政策インプリケーションの解明が有効な政策対策に結びつく可能性が高いと考えられる。これに寄与する大量観察調査を実施予定である。

公開日・更新日

公開日
2005-06-09
更新日
-