慢性期入院医療における包括的評価指標の開発

文献情報

文献番号
200400124A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性期入院医療における包括的評価指標の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 泰(国際医療福祉大学 医療福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 大河内 二郎(産業医科大学 医学部)
  • 大内 東(北海道大学 工学部)
  • 松田 晋哉(産業医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
2,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 今年度は、3ヵ年の2年目にあたり、2つの研究目標を掲げた。第一は、慢性期入院医療における包括的評価指標の開発に不可欠な介護必要量を評価するために、要介護度を簡便に予測するモデルを開発することである。
 第二は、慢性期入院医療における包括的評価指標を作成するために必要と思われる項目を含んだ亜急性病棟を対象とした調査用紙を用いて亜急性病棟の調査を行ない、(1)調査用紙の実用性の評価を行なう、(2)亜急性病棟の実態を把握することである。
研究方法
 要介護度を簡便に予測するモデルを開発するため、J市の5,362例の検証データを用い、{痴呆度、寝たきり度、原稿の要介護認定に用いられている8評価項目}により要介護度を予測するモデルを開発し、続いてJ市のデータを用いてそのモデルの信頼性を検証した。
 1年目の研究で開発した亜急性病床調査用紙の一部を改定し、この用紙を用いて2004年度に亜急性病床を退院した患者(31病院、2701症例)の実態調査を実施した。
結果と考察
 要介護度を簡便に予測するモデルを開発するモデルの信頼性をJ市のデータを用いて検証したところ、現行一次判定では二次判定結果との一致率56.3%、二段以上誤答率4.9%であったが、今回のモデルでは、一致率67.9%、二段以上誤答率2.0%となった。この結果から、{痴呆度、寝たきり度、8評価項目}の合計10項目により簡易判定を行うことの可能性が示唆された。
 亜急性病床の調査用紙に含まれる項目を集計することにより、亜急性病棟の実態を適切に把握できることを確かめた。またアンケートにより、記入が誤り無く行ない得、質問内容も容易に判定できる内容であるという結果を得た。
以下、今回の調査より明らかになった亜急性病床の概要を示す。
1.自院一般病床からの転床が94%と圧倒的多数であった。
2.在宅復帰率は合計87%に上り、退院先は自宅 76%、特養 3%、老健 8%であった。
3.脳梗塞、脳出血、大腿骨頸部骨折、その他の骨折、整形外科疾患が多い
4.ケースミックス別では、 リハ目的入院70%、病状不安定は15%、在宅等調整入院は24%
5.認知症は少なかった。
6.リハ施行は78%であった。
7.退院時は寝たきり度が回復しているケースが多い。
結論
 今回開発した調査用紙の対象を、亜急性病床から他の病棟にも拡張できる形で変更することにより、3年目に慢性期入院医療における包括的評価指標の開発に到達できるめどがたった。

公開日・更新日

公開日
2005-05-09
更新日
-