少子化社会における妊娠・出産にかかわる政策提言に関する研究

文献情報

文献番号
200400122A
報告書区分
総括
研究課題名
少子化社会における妊娠・出産にかかわる政策提言に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
福島 富士子(国立保健医療科学院)
研究分担者(所属機関)
  • 小林秀資(財団法人長寿科学振興財団)
  • 岡本悦治(国立保健医療科学院)
  • 柳澤秀明(埼玉県熊谷保健所)
  • 宮里和子(愛知医科大学大学院看護学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「よい妊娠、出産、産褥、子育て」を経験することが、次の子どもを出産することの動機づけになるという仮説のもとで、現場調査に基づく実現可能な政策提言をすること。
研究方法
1)全国において合計特殊出生率の高い地域である沖縄宮古郡の離島に住む4人以上子どもを産んだ経験のある女性に妊娠、出産、子育てについて聞き取り調査をし、出生率の高さを支える要因を分析し、普遍的要素を抽出した。
2)大分県玖珠町、愛知県新城保健所、和光市こどもの防犯ネットワークといった先駆的な子育て支援を行っている地域において聞き取り調査やワークショップを行い、地域における組織的な住民活動を通した少子化対策を検討した。
3)不妊治療の需要推計と、治療が最大限の効果をあげたらどの程度の出生数増加があるか、をモデル化して推計した。また医療機関より不妊治療の価格ならびに請求方法を調査して、出生一人増加のための費用を推計し、効果的な構成助成制度のあり方と期待される出生増を試算した。  
結果と考察
1)宮古島および多良間島における面接調査の結果、①夫もしくは近所の人の協力 ②生活費の安さ ③安心、安全な環境 ④住民の価値観、気持ちの持ち方等に共通要因があった。
2)玖珠町の行政主導と和光市の住民主体のモデルを普遍化し全国に適用するとすれば、①子育てを地域で支える関係性の再構築②価値観の変容③安全、安心を目指した地域づくりを促す政策を模索する必要があることが明らかになった。
3)2004年度に開始された不妊治療医療助成事業は、適切に給付設計すれば少ない費用で相当な出生増をもたらすと試算され、きわめて効果的な少子化対策になることが示唆された。
 
結論
 実践例から地域における関係性の再構築をしていく方策は住民の主体的な活動なくして実現し得ないことがわかった。 
 よって、行政の役割は、住民の活動を促すために土壌を耕し種をまく施策と、住民の活動を育て支えていく継続的な支援である。同時に、国の政策や考え方が市町村レベルで的確に実行され、成果や課題を住民や地域から吸い上げて国に持ち上げることのできるしくみづくりが急務である。
 不妊治療助成事業に対しては、年齢制限、最初の一回に全額助成という給付重点化そして医療機関に対する成功報酬という具体的政策提言を行った。

公開日・更新日

公開日
2005-04-21
更新日
-