文献情報
文献番号
200400119A
報告書区分
総括
研究課題名
ホームレス者の医療ニーズと医療保障システムのあり方に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
黒田 研二(大阪府立大学(社会福祉学部))
研究分担者(所属機関)
- 中山 徹(大阪府立大学 社会福祉学部)
- 逢坂 隆子(四天王寺国際仏教大学大学院 人文社会学研究科)
- 下内 昭(大阪市保健所主幹)
- 高鳥毛 敏雄(大阪大学大学院医学系研究科社会医学専攻 社会環境医学講座)
- 的場 梁次(大阪大学大学院医学系研究科社会医学専攻 法医学講座 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
7,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
大阪市内におけるホームレス者を対象に、質問紙調査、健康診査データ分析、大阪社会医療センター付属病院入院患者調査、監察医事務所保管の死亡データの分析などを通じて、その健康破壊・生活破壊の実態を明らかにする。また、医療ニーズと医療保障のあり方を検討する。
研究方法
1.高齢者特別就労事業従事者に対する健診および健康相談活動、2.大阪社会医療センター付属病院における入院患者調査、3.巡回診療展開方策と症例の検討、4.大阪府監察医事務所等が扱ったホームレス死亡例の疫学調査の4つのアプローチを行った。
結果と考察
1.特別就労事業従事者と社会医療センター患者には、本年度はとくに食生活の状況と歯の状況に焦点をあてた調査を実施した。その結果、ホームレス生活者の食生活は健康を保持する上で問題が大きいこと、同年齢の日本人一般に比べてホームレス者は歯の状態が劣悪で、残存歯が少なく噛み具合が悪いことが食事摂取に悪影響を及ぼしていることが明らかになった。経済的貧困とともに歯の状態が食事摂取の問題を増幅させていることが実証された。2.特別就労事業従事者に対して、健診後も健康相談を継続実施することで、血圧の自己測定を行う人、継続的に受診する人が増え、重度・中等度の高血圧の比率が減少した。結核に関しては、きわめて高い有病率に対し、患者発見とその後の治療導入をはかるためのシステムを開発しつつある。3.国境なき医師団グループの研究参加を得て、公園等の野宿者が起居する場所で出かけて行う巡回診療の展開方策について検討した。ホームレス者の生活ニーズに即した医療を提供するために、医療を伴うアウトリーチ機能が有効であることを示した。4.大阪府監察医事務所等が扱ったホームレス死亡例の疫学的分析により、2000年から2004年まで5年間で、ホームレス者の年間死亡数は減少傾向にあることが示された。予防可能な「早すぎる死」を防止するために、また対策の効果を検討するために、こうした疫学調査を継続する必要がある。
結論
本年度調査で、ホームレス者の口腔保健の状態には問題が大きく、そのことにより食事摂取にも悪影響がもたらされていることが明らかになった。また、昨年度から継続している健診、健康相談の活動により参加者の健康意識が高まり、健康管理を積極的に行う人が増加し、重症・中等症の高血圧の頻度が低下していることが明らかになった。当事者が積極的に参加しうる健康支援方策の開発が求められる。
公開日・更新日
公開日
2005-04-11
更新日
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